仕事柄、あいさつなんてものはあまりやるものではないが、私は極力するように心掛けている。
「隊長、おはようございます!」
「うん、おはよ!」
そんな苦労の成果か、自分の隊に関しては私から言わなくても言うようになってくれた。他の隊員も声をかければ返してくれる。時々うざそうにされるけど、それは仕方ない。そしてその代表例とも言うべきか、黒いカエルが見えたので挨拶しようと息を吸う。
「フランおはよう!」
そして振り返った顔は、相変わらずめんどくさそうだった。
「……おーはーよーうー?」
「あーはいはい。おはようございますー名前センパイー」
幹部クラスになるとみんなほどほどに挨拶してくれるというのに。ルッスーリアなんかはもう即答だ。なのにこのカエルは必ず一回は無視する。
「もう!いい加減に挨拶してくれてもいいじゃない」
むー、と唸っているとフランがため息をついて、顔を背けた。観念して挨拶してくれるのかな?と期待を込めた目で見つめると、
「違います、あきれてるんですー」
(この人は嫌そうな顔をしても声をかけてくるんで、いろいろ誤魔化すのが大変なんですー)