霧の守護者が入ってくる。
その情報はあっという間にヴァリアー全体に広まった。
「やっぱりあれほんとなの?」
「らしいぜぇ!まぁボスさんが選定したぐらいだから使えねぇことはねぇだろぉ!」
「だね」
ヴァリアー全体、もちろん幹部も知らされるわけだが、少しばかり不安はある。何故なら、雲の守護者の前任が機械(という表現が正しいのかどうかはわからないが)だったのだから、また変なんじゃないだろうな、ということだからだ。
「じゃ、ご対面と行きましょうか」
「お"ぅ」
ドアを開け放てば、見えたのは黒いカエルを被っている、ソファーに座った男の子だった。
「……………………」
「ねぇ、これ、あれかな、霧の守護者って言うぐらいだし、幻覚?」
「いや、俺の感覚は誤魔化されねぇ。本物だぁ、これは」
「じゃあまた機械とか?」
「全く、失礼なやつらですねー。ヴァリアーはこんなのしかいないんですかー?」
喋った。もちろん、カエルではなく本体の方が。
「ミーが来て早々頭おかしそうなやつに無理やりこれ被せられましたしー。まともそうなのが来たと思えば今度はそっちが被せといたこれ幻覚扱いでー。おまけに機械ですかー。あーうぜー」
(少なくとも最初のはベルね)
ごめんごめんと謝ればやる気の無さそうで、かつ油断は一切ない目がこちらを見上げた。
「あなたが雲の守護者ですかー?」
「うん、そうだよ。よろしくね、フランくん」
(カエルの)頭をなんとなく撫でてやると、一瞬表情筋が動いたと思ったら、パシッと手を弾かれた。
「馬鹿にしてるんですかー」
(何となくですけど、ムカつきましたー)