プルルルと、けたたましく鳴る携帯。貴方は携帯に気づかないから音を鳴らしたら?と言われてからマナーモードを解除している一方通行だが、無機質な義務的音が鳴ることにどうも落ち着かない。必要以上に存在をアピールしてくる携帯に対して、数コール経ってから一方通行は電話に出た。
「あァ?」
「ちょっと!電話には早く出てって私お願いしたよね!?」
「知らねェよ白饅頭」
「白饅頭!?私は饅頭なんかじゃないんだよ!!」
「はいはい、ったく五月蝿ェな」
「もう、あなたは仕方ない人なんだから。あっそうそう、私ね今外なんだけど、迷子になったみたい。だから道を教えて欲しいんだな」
「断る。ンな面倒なこと誰がするか」
「もう!!とうまはどうせ分からないから、あなたしか頼れないの」
「………、目の前にでけェビルがあンだろ」
「うん、あるね」
「そこの右の道をまっすぐだ。そしたらマンションがあるから待ってろ。オマエの足じゃあの野郎の家まで遠いだろ」
「うん!ありがとね、あくせられーた」
ぶつりといきなり切られた通話に溜息をついて、一方通行はダウンを羽織り外へ出かけた。
「あっあくせられーた!!」
自分より数分遅れて着いたインデックスが大きく手を振りながらこちらに来る。まるでこちらが迷子になったような感覚である。パタパタと駆けてきたインデックスは息を整えてから、額の汗を服の袖で拭った。
「会えてよかったよ、あくせられーた」
「………よく考えたらオマエ携帯使えたか?」
「私だって携帯の使い方くらい覚えるよ!!頑張ったんだからね」
「はいはい、で何処に行きたいンだよ」
「えーっとね―――」
インデックスが住所を述べていく。そこを頭の中で地図化して、一方通行は目的地を求めた。しかしその場所はインデックスが住んでいる場所ではなくて、何故か一方通行が住んでいる場所。住所を言われた時点で気づくべきだったが、普段住所を書く機会の無い一方通行は気にも止めなかった。
「何で俺のところなンだよ」
「一方通行の家に遊びに行きたくて!!」
純粋な笑顔で一方通行を見るインデックスは嘘をついてはいないだろう。無邪気な笑顔に諦めを感じた一方通行はインデックスの額にデコピンをした。
「痛っ!あ、あくせられーた!ひどいんじゃないかな??」
「来たいならついて来い」
不器用にそう言い捨てると、喜々としてインデックスが隣を歩く。白と白の対比が二人の距離を狭めていった。