「で、お前らはどォして此処にいるンだよ」
「別に何処にいようと私達の勝手だろ?」
「むぎのはちょっとシャイなだけだよ」
「滝壺余計なこと言うんじゃない」
「………否定は超しないんですね」
とあるファミレスにて、偶然か必然か、一方通行とアイテムが一同に集まっていた。正確には一方通行が座っていた席に、アイテムが相席を願ってきたのだ。昼間のファミレスだからか席はかなり空いている。相席にする必要など無いのだが、女性陣の強い推しに一方通行が負けた。女性がいかに強く怖いか一方通行は身をもって知っているからだ。
そんな四人は窓際の席に座っており、外から丸見え状態だった。一般の生徒から見たらただの男女四人だが、力をもちそれなりの知識がある生徒ならば、座っている四人の格が良く分かっただろう。現にちらほらと四人の方を向く、一方通行から見てまぁ"出来る"奴が数人いた。(もしかしたら一方通行やアイテムの容姿に目が惹かれただけかもしれないが)
「そういや浜面はいねェンだな」
「アイツは別件で出てる。あっ紅茶よろしく」
「はまづら最近忙しいんだよね……、麦茶お願い」
「まぁ仕事は結構こなしてますけど、オレンジジュース超下さい」
この代金は流れ的に一方通行が払うのだろう。財布事情として困ってはいないが、使い道がなんだか癪だった。
「ンでアイテムが俺に何の用だよ」
「しいていえば会いたかったから?」
「あァ?ふざけたこと言ってンじゃねェよ」
「滝壺さんのストレート好意にうろたえないなんて………、超猛者です」
「好きが伝わらないのは悲しい。あくせられーたは私達のこと好き?」
「ここで俺が好きって言ったらどォなる?」
「今から挙式するだけ」
「「滝壺(さん)!?」」
滝壺の飛躍した考えに絹旗と麦野が静止に入る。思ったことを素直に言えない麦野に対して、滝壺は好意を相手にはっきり言うタイプだ。それは絹旗も割と同じではあるが、天然が入った滝壺に勝てる訳がない。何度も浜面を壊滅的状態(精神的に)追いやった実力は伊達じゃないのだ。
「………そォいうことは本当に好きな奴に言え」
だが相手は一方通行、滝壺の天然すら通じない男。あの滝壺の直接攻撃を見事にスルーしてみせた。一方通行の答えに滝壺は不満そうな顔をしたが対して二人は少し安心する。これで滝壺になびいたら今までの積み重ねが無駄になってしまう。
「あれ?もしかしたらあくせられーた?」
窓に張り付く少女の存在に、一方通行とアイテムは肩を落とした。
場所は変わり此処は公園、アイテムとインデックスを連れて一方通行はベンチに座っていた。四人はワゴンアイスを買いに行っているため今は一人だ。元々ファミレスで一人考え事をする予定だったので、誰もいないこの時間が幸せだった。
「ちょっと!なんでアンタが此処にいるのよ!」
聞き慣れた声に一方通行は頭を抱えた。せっかく一人になれたのに乱入者のせいでまた波乱だ。しかし乱入者である美琴は、頭を抱えた一方通行を見てオロオロし始めた。
「体調悪いの?」
「悩みの種が次から次へと生まれンだよ」
「………もしかしてアレのこと?」
美琴が指差す先には袋一杯のアイスを持った四人の姿がある。インデックスはいつの間にか三人と仲良くなったようだ。友達が増えることは良い、自分に害が無ければ。
「あっビリビリだ!」
「よぉ第三位、どうしたデートか?行って振られてこいよ」
「第三位……超電磁砲さんですか。超こんにちはですね」
「れーるがんこんにちは」
「どういう括りか気になるわね」
アイテムという存在を知らないため、美琴はインデックスを除く三人の関係を知らない。麦野が暴君であることは知っているので、友人という響きに何処か違和感を感じる。けれどそれ以外に思いつく関係がない。
「どういう関係か聞いてもいい?」
「………恋敵」
「えっ!?」
「相変わらず滝壺は直球だよな」
「その正直さは超尊敬します」
「恋敵ってことは………私の敵でもあるのか」
インデックスが、実は一方通行のことを好きだという事実は、今のところ美琴しか知らない。あれだけ近くにいる当麻を好きにならなかったことは驚きだが、美琴自身一方通行が好きなので言うことが無かった。そんなインデックスを恋敵と呼ぶということは、つまり三人も一方通行を好きだということだ。美琴の知り合いで一方通行好き率が高いことに、美琴は内心溜め息をついた。
「お前達………」
一方通行が驚いた声を出す。無理も無いだろう、いきなり複数女子から好きだと言われたのだから。
「お前達本当に上条のこと好きなンだな」
予想の斜め上を行く答えに五人は首を傾げた。何を行っているんだこの男は。
「超電磁砲が好きな奴って上条だろ?そしたら話の流れ的にお前達も好きだっていう流れだろォが」
前言撤回、目の前の彼は世界で一番の鈍い男だ。