※女の子特有ネタあるので注意!
くるくると器用にシャーペンを手で回すノノハは、なんだかいつもと違った。別にどこか怪我をしているわけでも、服装が変わったわけでもない。なんら変わりの無い筈なのだが、いつものノノハとはどこか違うのだ。
「あっ、大門くん。なんかノノハちゃん様子変じゃないかな」
クラスメイトが心配そうな声でカイトに相談をする。このクラスメイトは比較的ノノハと仲が良いが、異変の原因は聞けないのだろう。学園内で最も親しいカイトに話が回って来るのは当然の話で。だからか、カイトも困ったように声のトーンを落とした。
「いや、正直俺にも分かんないんだよな」
「えっ?大門くんでも分からないの?」ノノハに関して余程期待していたのか、素っ頓狂な声が思わず漏れる。それほどまでに二人の仲は親密に伝わっていた。
「まぁ本人に聞けば良いだろ」
ノノハの元に行けばいつもと違うオーラを漂わせたノノハの後ろ姿。気軽に、普通に声をかければノノハから冷たい視線が返ってきた。
「おはようカイト、今日もまた随分なパズル顔だね」
「パズル顔って……ノノハどうしたんだよ」
「煩いからあっち行ってくれないかな。………いいよねカイトは、パズル解いてれば良いんだから」
普段のノノハからは考えられないような暴言の数々に、さすがのカイトも頭にくる。カイトが特にノノハに何かした訳ではない。それなのにこの仕打ち、明らかにおかしい。相手に敵意しか見せないなどノノハらしくもなかった。
「あっノノハ〜、お昼一緒に食べよ?」
「あ、アナ。うん良いよ、じゃあまた後で」
ちょっと待て今の態度は何だ。思わず口に出してしまった言葉に、ノノハが嫌そうな顔をする。全くもって何が何だか分からない。
「カイト、悪いけどしばらく話し掛けないで。今はカイトと話したくないから」
「ちょ、待てって……ノノハ!!」
突然の物言いに理由を問いたくなるが、ノノハが席を立ってしまった為に叶わない。ただ確かに言えること、それはノノハの機嫌が異常に悪いこと。もしかしたらギャモン辺りが何かやらかしたのかもしれない。だとしたらギャモンふざけんなだ。
「ノノハ機嫌悪いよね〜。何かあったの?」
「別に……、」
「でもアナには普通だよね〜。どうして?」
「まぁ、ちょっとアレっていうか…」
「……もしかして生「口に出さなくていいからっ!」
羞恥心からか、どうにもそういうことは言い辛い。カイトに八つ当たりのようにしてしまったことは、申し訳無い気持ちでいっぱいだ。しかしこの苦しみをもたない男に対してイライラしてしまうのは仕方の無いことだと分かって欲しい。こっちは毎月お腹を痛めなければならないのだから。今回に限ってか酷い痛みを伴うことに、女であることを呪わざるをえなかった。
「………アナ男の子だよ?」
「そこまで性別を感じさせないと、もう気にならないっていうか…」
アナに関しては、あれはもう男女で括ってはいけない。新たにアナという性別で分類すべきである。
(ノノハの態度がおかしいから、カイト達今頃慌ててるだろうなぁ)
そんなことを気楽に考えながら、アナはノノハのお弁当のタコさんウインナーに手をつけた。