※学パロ
長きにわたる戦いもようやく見納め。今、最後の戦いの火蓋が切って落とされた。この学園史上最大の戦いは学園中の注目の的で、一目見ようと学園全ての生徒が廊下に集まろうとする。しかしいくら広いこの学園でも全生徒を一つの廊下に集めるのは不可能だ。従ってクラスから代表者を決め、彼等が戦いを生放送でクラスに届ける役割を担っていた。
「今年で最後なんだよね〜」
「だって先輩卒業しちゃうんだもん」
誰もが迎えるラスト、卒業。避けられない問題によって、この恒例行事も終わりを迎えるのだ。現在高校生三年生である垣根帝督の卒業によって。対して二年生の鈴科百合子は、あと一年在籍する予定だ。
「あー、これで終わりかと思うと感慨深いものがあるよな」
「別に終わってくれて構わねェけど」
職員室前の廊下で呑気に話す二人。最後のバトルの結果が掲示されるまであと十分ほどある。ギャラリーは既に待機していて、廊下は放課後とは思えない程賑わっていた。
「にしてもすごいよな。たった二人のテスト結果見るのにこの人だかりだぜ。どんな目で俺達を見てるんだか全く」
「さァ。面白見たさじゃねェの?たかだかテスト如きでいちいち騒ぎやがって」
「まぁ終わりなんだし、良いじゃないの」
教師が出てきて壁に結果を張り出す。二人の視線とギャラリーの視線―――それらが紙に集まった瞬間、女性陣が歓喜に湧いた。
「うわ、最後まで負けたんだけど」
「当然だろ。垣根如きが私に勝つなんざ百万年早いンだよ」
「あー、最後くらい勝ちたかったけど、最後でお前最高点じゃん」
「パーフェクト、頂いたぜ」
くるりとスカートをはためかせて群集の中に紛れ戻る百合子をじっと見つめてから、垣根もクラスに戻った。両者とも、クラスで祝福やら文句やら言われるに違いないのだ。特に性別が違うこともあり、お互いが性別代表という見方をされていたので、百合子はきっと女性陣の憧れになる。
こうして幕を閉じたバトルだが、物語はまだ終わっていなかった。
「えっ……百合子?」
「朝から間抜け面してンなよ。遅刻するぞお前」
「いやいや、なんで百合子此処にいんの?」
「一年上のお前に勝った時点で、これから一年あそこにいる必要は無くなったからな。飛び級して上がってきた」
よろしくな、と微笑む彼女は艶美で、垣根は正真正銘彼女に惚れたのだった。