7月30日〜9月21日
期末テスト的な話
時間の終わりを告げるチャイムの音と共に、張り詰めていた空気が緩んだ。紙を裏返る音と大きくなる話し声。どこが出来ただ何が出来なかったという声があちこちから聞こえてきた。枚数確認を終えた教師が教室を出ると、席に座っていた生徒達が一斉に動き出す。
「死んだー!!補習決定だよ絶対」
「補習常連の上やんには当然の結果だろう?」
「そういう土御門はどうなんだよ」
「上やん、俺を見くびるな」
普段のおちゃらけた土御門とは違う低い声に当麻は息を呑んだ。土御門は表で生きているが実際は違う。常に危険と隣り合わせな彼は、当麻と生きている世界が違うのだ。
「もちろん補習だ」
「お前もかよ!!さっきまでの真剣な感じを返せ!」
「ゴチャゴチャうるせェよ、黙ってろ」
「お、一方通行は今起きたのか?」
「確かテスト開始十分くらいで寝てたか」
「ンなの終わったら自由だろォが。寝ようが何も言われねェし」
「それは一方通行だけです」
クラス内で一位、もとい学校内で一位の彼には教師は何も言わない。下手に刺激して退学なんてされたら困るからである。この学校が学園都市の中である程度の位置にいるのは、学園都市の一位から七位が在籍しているからなのだ。
「そんなにつまらないならもっと上に行けばよかっただろ」
「………上は好かねェんだよ。学力が全ての奴らなンざ興味ねェしな」
「まぁ七人のおかげでこの設備なんだ。感謝しないとな」
「まぁ、そうなるのか。………そういや土御門この後暇?」
「予定なら無いが」
「実はインデックスが今お泊り中なんだ。だからテスト明けに昼でもどうだ?一方通行もどう?」
「………昼って何処で」
「いや、ファミレスでもファーストフードでもいいけど」
「……………」
「一方通行、もしかして他人と昼食べに行くの初めてか?」
「あァ!?ンな訳……ない…だ…ろ…」
「なんだよ図星かよ。行こうぜ三人で」
「………あァ」
テキパキと荷物を纏めていく当麻と土御門。一方通行は思考を別の方へ向けていた。それでも纏めるのは二人よりも早かった。