5月9日〜7月29日
「絹旗って最近ボーっとしてない?」
「そんなこと超ないですよ」
「ならいいけど」
と言いつつ絹旗は相変わらず外を眺めている。もちろん特にイベントなんてやってる筈もない、普通の日常である。絹旗の異変は三日前から起きていた。食事もいつもより少食、C級映画の話にも乗って来ない。はっきり言って変だった。
「浜面、絹旗の異変に心当たりないのかよ」
「知らないって」
「そういえば誰かと会ったって言ってたよ」
「誰よ?」
「確か……あくせられーた」
「一方通行ぁ?絹旗と何か関係あったっけ?」
三人は頭を悩ませるが特に思いつかず、結局この話は流れた。
時は戻って三日前……
「おや、一方通行じゃないですか。超久しぶりですね」
「オマエ……確かアイテムの絹旗か?」
「超覚えていてくれましたか。てっきり超スピードで忘れたかと」
「記憶力は良いンでな。第一オマエある意味妹みたいなもンだろ」
「妹?」
「オマエの能力……窒素装甲だってか。あれ暗闇の五月計画の一種だろ。だから実質能力の元は俺なんだし、オマエは妹的な存在なんじゃ……って何故立ち去るンだ?」
絹旗は「妹、妹…」と反芻しながらその場をダッシュで立ち去った。それ以来絹旗の脳内は兄(?)である一方通行で一杯だった。
(あれ?私が妹ならあの超ウザい黒夜も妹なんじゃ……)
重大事実に気づくのはそう遠くない。