翌朝アレンが食堂で朝食をとっていると、急いで走っているリーバーが見えた。
「あ!アレンいたいた。任務だからあと10分で来てくれ」
「分かりました。なるべく早く行きますね」
そう返事をするとリーバーはまた走って何処かへ行ってしまった。
(最近みんな忙しそうだなー。そんなに奇怪現象が頻繁に起こるなんて珍しいし)
そんなことを考えながら、アレンは残っていた朝食を急いで食べた。アレンが司令室に行ったとき、そこには神田とラビとリーバーもいた。
「あれっ?二人も一緒なんですか?」
「そうみたいさ。なにやら少し危ない任務らしい」
「モヤシ一人じゃ出来ねぇだろうからな」
「モヤシじゃありません。アレンです」
「はいはい、もういいから。とりあえず座ってくれる?」
アレンは渋々ソファに椅子に座った。
「今回キミたちに行ってもらうのは、ヒフレイの森っていうところなんだ」
手元にあった資料には野鳥が飛び交い綺麗な花が咲く場所と書いてあった。
「ここで奇怪現象が起きているんですか?」
「そうなんだ。第一発見者は村人でね、どうやら野鳥が一匹もいないらしい。それに花も咲かない。自然環境には大きな変化はないはずなのにおかしいってことでね。ちゃんと探索部隊も行かせたんだけど、間違いないね」
「でもそこって大きな森なんだろ?闇雲に行ったって意味ないと思うさ」
「それに関しては大丈夫。探索部隊が行った時に、行けなかった場所があったんだ。おそらく結界のようなものだろうね」
「そこにイノセンスがあるってことか」
「フン。そこまで分かれば問題ない。とっとと行ってくる」
「うわーユウ超やる気じゃん。まぁオレも早く終わらせたいし、行ってくるなー」
「じゃあ行ってきます、コムイさん」
「うん、いってらっしゃーい」
「………室長、なんであの事言わなかったんですか?」
三人が出て行った後、リーバーが聞いた。
「んー?別に言わなくてもいいかなぁって」
「森のほとんどに結界が張ってあるなんてさ」
「コムイの奴………後で殺す」
「おいおい、そんな物騒なこと言うなよ。ってかユウが言うとマジにしか聞こえないさ」
「でもこういうことはちゃんと言って欲しいですよね」
アレン達は森の中で半迷子状態になっていた。
「それにしてもホント広いさー」
「探すにしてもどこから回ればいいのか………」
「……おい。ここさっき通ったぞ」
この会話も、もう数十回目だ。
「あぁーめんどくさいさぁ〜。何かいい方法ないんさ?」
「そうですねー。まぁ少し休みませんか?いざという時ヘトヘトじゃ格好悪いです」
ラビは嬉しそうな顔、神田は嫌そうな顔をしたが、反対の意を唱えるものはいなかった。
「じゃあ少し向こう行ってますね。」
アレンは足早にその場を離れた。
「ねぇ、これについてどう思う?」
アレンが誰もいない場に向かって一人話しかける。すると談話室で聞こえた声が響いた。
《イノセンスが関わっているのは間違いないですね》
「そっかー。今回は当たりみたいだね。……場所って特定できる?」
《細かい所までは難しいですけど、大体なら分かりますよ》
「じゃあ道案内頼んでいい?」
(良いですけど……。彼らにはどう伝えるんですか?)
「うーん。寄生型だから〜なんてダメかな?」
《無理じゃないですか?ブックマンJrは勘が良いですし、あの刀使いもそういうの鋭そうですし》
「やっぱそう思う?」
《・・・分かりました。私の声を彼らにも聞かせましょう。そうすればイノセンスが呼んでるとか言い訳出来るでしょう》
「それいい考え!!じゃあそれでいこうか」
《くれぐれもミスしないで下さいね》
「はいはーい。それぐらい分かってるよ」
「おーい。誰と話してるんさ、アレン」
振り向くと呼びに来たラビがいた。
「えっ?僕話してなんかいないですよ?」
「そうか?いや、なんか話し声が聞こえたように感じたさ」
「ははっ、気のせいですよ。」
「そっかーまぁいいよ。それよりそろそろ行こうぜ」
「はい!!」
アレンは走ってラビに向かって走り出した。