まひるが自分を好いていることは、いくら鈍感でも分かっていた。いや、好いているというか………崇拝?命を救われたからだとまひるは言うが誰だってあの場ならするだろう。阿幾ならしないかもしれないが。
「だからさ、まひる。いい加減他の男も見ろって」
「いいえ、匡平様さえ居てくれれば良いんです!玖吼理を操る匡平様は世界で一番格好良いですから。あっ、玖吼理の隻でなくとも私の想いは変わりませんから」
まひるの中の俺はヒーローなのだろう。別の名では白馬の王子様という奴だろうか。まひるは俺の中の本性側が好きらしい。俺の大嫌いな部分をだ。それを果たして王子様と呼んでも良いのだろうか。
「匡平様。まひるは一心に想い続けていますわ。血なんてどうでもいい、大切なのは心でしょう?」
その心が自分には無いのだけど。いつまで経ってもまひるは理解してくれない、しようとしない。別にまひるを悪く言いたい訳では無いのだが………。
「匡平様。まひるは匡平様の全てを愛していますわ」
やはり彼女の言葉は酷く重かった。