サラサラとした白い髪が鼻を掠める。フワリ、とした匂いが、なんだか甘くて思わず口元が緩んだ。
鼻を頭にうずめると、少女は眉をひそめ、頭をずらした。
上条はそれに反抗するように、現在自分の広げた足の間に体育座りのように座っている百合子を後ろから抱きしめた。
「なァ、上条くン…。今、夏だよなァ」
「そうだけど、それが何だよ」
「ただ今の予想気温は30°超え」
「熱いな」
「熱ィンだよ!」
能力を使うにも、上条の右手が触れているのだから使えない。
普段から能力に頼り切っていたその細身な身体には、熱さはどうも苦手らしい。
上条は、それをきちんと理解してる。
しかし。
上条はわざとらしく右手で、百合子の頬をなでる。
サラリとした滑らかなシルクのような肌が、少し汗ばんでいた。
「一瞬に風呂入るー? 水風呂」
「……熱さで頭が逝かれたのかァ…」
「いえいえ上条さんは正常ですよー、いつもの不幸な上条当麻です」
にっこり、と幸せそうに顔を赤らめながら微笑む。
現在進行形で抱き締めている少女は、それを見てそっぽを向く。口を尖らせ、不機嫌ですよと言わんばかりに頬を膨らませる。
それだけの仕草で、まるで甘ったるいココアを飲んだときのように、口元が緩む。
「あー…上条さん幸せだぁぁ」
「幸せだァ?」
「すげー幸せですよー。だって」
耳元で囁けば、呆れたようにため息をつく。でも、耳は、ほんのりピンク。
それが何故かとても可愛いから、今度は少女の額にキスを落とした。
大好きだから
愛しいあの子は
今日も可愛いです