「どうしよう生徒手帳が無い〜!ってミサカはミサカは叫んでみた「ここにあンだろォが」
平穏な朝、黄泉川宅は朝から賑やかだった。黄泉川は珍しくレディースのスーツを、あの芳川でさえきちんとした服装をしている。玄関には真新しい革靴があり、壁にはまだ袖の通されてないブレザーが掛かっていた。そう、今日は打ち止めの中学校の入学式なのだ。打ち止めは朝からバタバタしている。髪型が上手くいかないだの物が無いだの、落ち着くという言葉をどこかに置いてきたらしい。そんな姿を一方通行はコーヒーを飲みながら眺めている。危なっかしいため助け舟を出しながら。一方通行の服装はいつもと同じ、白と灰色のシャツにズボンだ。
「ねぇアナタは本当に来れないの?ってミサカはミサカは再確認してみる」
「今日は行けねェって言っただろォが」
「でも……ってミサカはミサカは………」
一方通行が行かないのは面倒臭いからではない。本当に行かなければいけない場所があるのだ。しかしそれを言うと打ち止めに心配をかけてしまう。だから一方通行は打ち止めに理由を言えなかった。
(なんでよりによって今日なンだよ。後であのカエル顔、一発殴る)
打ち止めは準備が終わったらしく出掛けるようだ。黄泉川と芳川がそれに続く。
「じゃあねってミサカはミサカは声を掛けてみる」
「あァ」
打ち止めは少しうなだれると、出ていってしまった。窓から打ち止めが行ったのを見た後、電極のスイッチをオンにする。そして目的地に向かった。
「お疲れ様、打ち止め」
「ちゃんと返事聞こえたじゃん」
「本当!?良かったってミサカはミサカは喜んでみる」
新入生である打ち止めは先生やクラスメイトとの初対面を、黄泉川と芳川は保護者の説明会を終えて3人は校門で合流していた。しかし黄泉川が忘れ物をしてしまい、芳川と打ち止めは校門で黄泉川を待つことになった。その間、打ち止めは仲良くなった子がいるらしく、その子の話などをしていた。10分程経つが黄泉川は戻ってこない。打ち止めが芳川に疑問を投げ掛けようとした時、芳川が「じゃあまた後でね。」と言い残し校舎の方へ歩きだしてしまった。いきなりのことに戸惑うが芳川の後を追いかけようとした時、
「よォ、ガキ」
聞き覚えのある声が後ろからする。
「アクセラ……レータ?」
「他に誰に見えンだよ」
「えっ…だって来れないって言ってたからってミサカはミサカは……」
「終わったから来たンだよ」
よく見ると息が上がっている。
「ほら、帰ンぞ」
「でも黄泉川達は?」
「勝手に帰ってくンだろ。ほら、行くぞ」
「待って待って!ってミサカはミサカは要求してみる〜」
一方通行の右手を握り、打ち止めは歩きだす。一方通行は驚いた顔をするが、振りほどこうとしない。桜が舞い散る中、二人は仲良く帰っていった。
「ご苦労様、愛穂」
「なんだ、気づいてんじゃん?」
「貴方忘れ物してないのに居なくなるから。で、あの子が走ってきたから察したわ」
「まぁ打ち止めが喜んでたから良かったじゃん」
「でもなんで知ってたの?」
黄泉川は携帯を芳川に見せる。そこには「今から白いのが向かいますから、上手くやって下さい」という文面が打ち込まれていた。そして差出人は「妹達」だった。
「そういうことね」
「じゃ、帰ろうじゃん」
二人は追いつかないよう、ゆっくり歩き出した。
「にしてもすごかったですと、ミサカは素直に感想を述べます」
「いきなり来て『とっとと始めろ』とは暴君ですね、とミサカはちょっと不満を漏らしてみます」
「でもあそこまで検査時間を短縮できるとは驚きです、とミサカは評価します」
「記録を更新したのでは?ミサカは過去のデータを漁ってみます」
「理由は不純ですが、上司が笑っていたので良しとしましょう、とミサカは広い心を持ってみます」
相互記念で、とまと様に捧げます。とまと様のみお持ち帰りOKです。