一方通行とインデックスが共に出かけることは珍しくも何とも無かった。しかし二人は生きてきた世界が丸っきり違う。上条当麻曰く「相容れない二人」である。そんな二人に出来た接点、それは境界の越だ。二人共互いの世界から一歩抜け出し、相手の世界に一歩入っている、いわば両の域に入っている人間なのだ。

「あっ、あくせられーただ!」

「相変わらず白くてチビだなオマエ」

波長の合わない二人に見えるが、インデックスの性格にどこか抜けている部分があるので、二人は何故か関係を保てていた。しかも良好な関係をだ。インデックスのマシンガントークに一方通行がいい加減な返事や皮肉を返す。破綻しそうな関係なのだが、………どうしてだろうか。

「ねぇねぇあくせられーた、もっと食べても良いかな?」

「構わねェがその服が着られなくなって上条から冷たい目をされても知らねェぞ」

「むっ、それは嫌かも」

メニューへ伸びた手が机の上に戻る。当初はひたすら食べたいものを頼んでいたが、何度か会う内に今のような位置に落ち着いた。これはこれで友好なのだから、世の中よく分からないものである。

「ねぇねぇあくせられーた、とうまが言ってたんだけど"キャラ被り"って何かな?」

インデックスが急によく分からない質問をするのはいつものことである為、特に一方通行は困らない。しかしどういう経緯でそこに至ったかは気になる。一体誰のことを指しているのか。

「上条が誰と誰がキャラ被りだって言ったンだ?」

「私とあくせられーただよ」

「どこも被ってねェよ」

「なんかね……、白いところって言ってたよ」

「肌の色と服の色を混ぜるなよあの野郎」

悲しくも自分の細さと白さは認める必要があった。しかしキャラ被り発言は認められない。確かに白の代表格は二人だが、異なる点はきっと多々あるだろう。

「でも白って良い色だと思わない?純白というか―――純真なのかな」

「俺には一番似合わねェ色だな」

純白、この言葉は一方通行へ向ける言葉ではない。その点で言えば一方通行は確実に黒、もしくは黒に限りなく近い灰色に分類されるだろう。白には遠く及ばない。

「俺は強いて言えば暗雲みたいな黒だろ」

「じゃああの子は暗雲を取り払う青空なんだね」

青空、インデックスは打ち止めを指しているのだろう。確かに彼女は水色であり白であり光でもある存在だ。

「青空……ねェ」

「あなたたちはそういう関係なんだと思うよ」

ニコリと笑ったインデックスの笑みは、上条当麻を照らす太陽であり青空だと一方通行は感じた。

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