DREAM REBORN! | ナノ
あなただけ
「みんなー!今年もバレンタインのチョコ作ったの!貰って!」
そう言って私は広間にいるみんなにチョコを配った。
「ししし♪毎年ありがとなっ」
「んまぁ!今年はまた一段とレベルアップしたわね!」
「よくもまあ、金にならないことを毎年やるよね」
「ありがたくもらうぞ」
「…フン」
みんなそれぞれ私の手からチョコを取っていく。
「ボスのはね、お酒が入ってるの。テキーラだよ」
「ボスだけ特別扱いかよ。王子も特別がいいー」
「大丈夫よ、ベル。みんなちょっとずつ味が違うから」
「本当すごいわあ!…ところで、名前?」
「なぁに、ルッス?」
「…スクアーロのは?」
私が持ってきたチョコは5個。でも、広間にいるのは6人。
「う゛ぉ゛ぉい!まさか…ねぇとか言わねぇよな?!」
「ば、ばかスク!あるにきまってるでしょ!…あとで部屋行くから」
「?!」
私はスクにだけ聞こえるように言い、その場を去った。
「あらぁ?顔赤いんじゃないのー?」
「う、うるせぇぞぉ゛…!!」
私とスクは付き合っている。だから、作らないわけがない。しかも、付き合ってからはじめてのバレンタイン。待ち遠しくして仕方がなかったくらいだ。スクだけのために作ったようなものだ。私は、スクに作ったチョコを持って部屋に行く。深呼吸をして、ドアをノックする。
「…おう、入れ」
大好きなあの愛おしい声とともにドアが開き姿を現す。私はただ頷いてスクの後に続いて部屋に入った。スクはソファに腰掛けて隣に座るように促す。
「その…、チョコ、持ってきました…」
緊張のしすぎで、ついつい敬語になってしまう。私は、顔が見れずに下を向いたままチョコを渡した。スクがどんな顔で受け取ったのかは分からないけど、とりあえず受け取ってもらえた。
「み、みんなと違うやつだから…!」
「?」
「味はもちろん、ラッピングとか数とか…、スクだけ…特別だから」
私はこれでもか、というくらい顔を真っ赤にして言った。すると、上からふっと笑う声が聞こえてきた。
「ちょ…、笑わないでよ…!」
私は顔を上げてスクを見た。優しい顔で微笑んでいた。
「もちろん…本命だろ?」
「あ、当たり前…!!」
その言葉を聞いたスクは私を抱き寄せた。痛いほど強く。
「すげぇ…嬉しい」
それから数回頭を撫でられた。…心地いい。
「開けていいか?」
「うん」
私はスクから離れて、箱を開けるのを見ていた。一口サイズのチョコが6個。味も形もすべて違う。スクはとりあえず、一番無難なチョコを一口咥えた。そして、反対側を私に咥えさせるようにして押し倒した。そして、そのままキスをする。溶けたチョコの甘みと唾液が口の中で混ざり合う。
「んふっ…、スク…!」
突然のことで初めは戸惑っていた私も、スクの上手いキスにのせられ、気付いたら舌を返していた。しばらくして私たちは離れ、残りのチョコはスクの口に戻った。そして、スクはチョコをかみ砕き始めた。
「チョコありのキスも十分甘ぇが、やっぱり…」
そういってもう一度私を押し倒してキスをする。頭がぼうっとするような、深い深いキス。私たちは抱き合いながらその快楽に溺れた。
あなただけ
(…ハッピーバレンタイン、スク)
(あぁ)