DREAM REBORN! | ナノ
エイプリルフール


今日は、4月1日エイプリルフール。
スクを騙そうとなったのはほんの数日前。
日頃の恨みかなんなのか突然ベル君が言い出した。

「名前さ、もうすぐエイプリルフールじゃん?いっちょ、隊長騙してやろうぜ♪」

「な、なんか恨みでもあるの…?」

「(名前と付き合ってることとか言えねぇ…)ま、日頃のストレス解消って奴?」

ベル君は遠い目をして言った。

「あらぁ、いいじゃない♪見てみたいわぁ〜」

すると、横から話を聞いていたルッス姐さんがきた。

「面白そうじゃない〜?是非混ぜてちょうだい!協力するわ!」

「ちょ、姐さ…!まだやるなんて…」

「はい、じゃあ決定な♪しししっ」

「ちょっと〜!」

私の嘆きは2人には全く伝わらなかった。

そして、エイプリルフール当日。
大好きな彼を今から騙すというこの複雑な心境は、一体誰に話したら分かってくれるだろうか。

「少なくともここにはいねぇよ♪」

心を読まれたのかベル君はニヤリと笑う。
あの後芋づる式に話は広まり、マーモンやレヴィ、更にはボスにまでバレてしまったのだった。
そして思いの外みんな協力的だった。
私の彼はきちんとみんなから愛されてるのだろうか…?

「愛故に、よ♪」

あの、さっきから心読まないで下さい…。

「お、愛しの彼のお出ましだぜ!」

「ムム…、楽しみだね」

「じゃあ、私達はここから見守ってるわ♪」

「…はぁ」

変な声援のもと、私は重い足取りでスクの目の前に現れた。

「あ、す、スク!き、奇遇だね!」

「…おう?」

緊張のあまり不自然な挨拶になってしまった。

「うわー、やっちまったな名前。怪しまれてるもん、あれ♪しししっ」

物陰からそんな風に笑われてるのも知らず、私は次に話す話題を考えていた。

「お、おい名前…?気分悪ぃのか…?」

話題を考えてる顔がスクには気分が悪いととられたのか心配されてしまった。言うならここしかない…!

「あ…のね…、話があるの…」

「な、なんだぁ…」

2人の間に重い空気が流れる。

「スク…。私もう耐えられないよ…」

「おまっ…!き、急にどうしたぁ?!悩み事かぁ!」

おろおろし出すスクを余所に強烈な一言を言う。

「わ、私と…別れてほしいの!」

「っっっっ!?」

とうとう言ってしまった…。

「おおぉぉおお!言ったねー、ついに♪」

「見てよ、あの顔!絶望的な顔してるわ!」

「ムム…、ちょっとベル見えないよ」

「しししっ、子どもにはまだ早ぇんだよ♪」

「僕も見たいよ」

「ちょ、押すなって!」

ーーガターン!

「おい、マーモン!痛てぇよ!」

「僕は悪くないよ」

「…う゛ぉ゛ぉい、てめぇら…。こんなとこで仲良く盗み見かぁ゛?」

「ど、…ドッキリ大成功〜♪…なんちって」

「覚悟は出来てんだろうなぁ゛…っては?!」

スクはそれを聞いてすぐに私の方に振り向いた。

「ご、ごめんねスク…!今日はエイプリルフール…」

「…だぁぁぁあああ!」

スクは、エイプリルフールと聞いて顔を真っ赤にした。

「本気で別れんのかと思ってまじで…ビビった…。くそ…。すげぇ恥ずかしい…!」

スクは私に聞こえない小さな声で、何かを呟いた。

エイプリルフール
(名前…この代償は大きいぞぉ…?)
(え、ちょ、スク?!どこに連れてくの?!)
(((早く結婚しろ、このリア充ども!)))




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