DREAM REBORN! | ナノ
届きそうで
「じゃあ、いってくる」
そう言って名前の家を去ってから早いものでもう二週間が経った。
イタリアに戻ってからは溜まっていた仕事に追われ、なかなか名前に連絡することが出来なかった。
それに、今あいつの声を聞いたらいてもたってもいられなくなりそうだった。
「スクアーロ、電話よ!」
そんな時一本の電話が入った。
「…おう、誰だぁ…?」
「スクアーロ!!!」
電話の向こうから聞こえてくる声は、明らか自分とは正反対のテンションである。
もちろん、名前を聞かなくても分かる。
間違えるはずもない。紛れもなく名前だ。
「名前かぁ…、一体どうしたんだ?俺の携帯でもよかっただろうによぉ」
「連絡したのに気付かないからこっちにしたの」
「うっそ…!」
そう言って、いつぶりかに開く携帯には何十件ものメールと電話の量。
その大半が名前からのものだった。
「今初めて見たでしょ」
「うっ…」
「そんなことだろうと思ったよ」
「…すまねぇ。早くこっちでの仕事終わらせてすぐにでもそっちに戻ろうと思ったんだ。で、何か用事があんだろ?」
名前との電話と同時に、携帯に溜まったメールや電話の整理をしていた。
それにしても、あいつ、頻繁に連絡くれてたんだなぁ。
「いや、特にないの」
「そうか、ねぇのか…ってえぇ?!」
「そ、そんな驚くことかな…」
俺が何も言えないでいると名前は続ける。
「…ねぇ、スクアーロ。いつ帰ってくるの?
声聞いたら余計に会いたくなっちゃった」
「名前…」
届きそうで
(届かないんだよ、スク…)
(あー、何で俺こんな時ここにいんだろ…。
早く日本に帰って抱きしめてやりてぇ…)