DREAM REBORN! | ナノ
気付かない


名前がここへやってきてから、随分色々なことが変わった気がする。
まず、第一にボスが俺に暴力を振るうことが、激減していた。来る前は、コップや皿が飛び交うのは当たり前だった。
そんな状況を見兼ねた名前は、なんとあのボスにお説教をしたのだった。

「いい?ボス。世の中どんなに強くても、心が優しくなくちゃね。あなたはきっと心の優しい人だと思うんだ。だって、こんなにも頼り甲斐のある仲間が一緒なんだもん」

その場にいたメンバー全員、その言葉に顔を赤らめた。ボスはそれを聞いて、何を言うわけでもなく、投げつけようとしていたコップを置いたのだった。名前はすげぇ奴だ。
今となっては名前も大事なヴァリアーの仲間だった。

「…今日任務の奴、早く行って来い」

ボスの低音ボイスで我に返る。その言葉は遠回しに俺に向けられているものだと気付いた。今日は2人組での任務だった。

「スクアーロ、今日はよろしくね!」

…そう、名前と2人きりの任務。
これがもし俗に言う恋という気持ちなら、俺は確実に名前に惚れていた。いつ、どこで、とかそういうのは全く覚えていない。ただ、気付いたら好きになっていた。

「お前、足引っ張んじゃねぇぞぉ!」

「でも、万が一の時は、スクアーロが守ってくれるって信じてる。ね、二代目剣帝さん♪」

「う゛ぉ゛ぉい…」

そんな顔で頼まれなくたって、俺がぜってぇ守ってやるよ。しかし、そんな状況を快く思ってない奴が1人…。

「…おい、名前。お前今日任務無しだ。代わりに俺のそばにいろ。カス鮫は1人で行け」

ほらな、やっぱり。でも、あいつの言うことは絶対だ。名前は従うに決まってる。

「んじゃ、ボスさんよぉ、行ってくるぜぇ」

「…るせぇ、早く行け」

誰の指示も聞かないボスが、唯一聞くのは名前だけ。そのボスが名前に惚れていないわけがない。2人同時に名前に告白したら、君は一体どっちの告白を受けるだろう。俺か?ボスか?はたまたどちらも選ばないか。

「早く…気付きやがれあのアホ…」

気付かない
(ボス…本当に私行かなくていいの?)
(あぁ、行くな。絶対に)
(来てもいいんだぜぇ?)




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