DREAM REBORN! | ナノ
おめでとう
あの雲雀さんと付き合ってから2ヶ月が経った。雲雀さんは委員会で忙しくて、なかなか一緒に帰れる日はないけれど、それでも時間がある日は一緒に帰ってくれていた。
みんなから恐れられているあの雲雀さん。
でも、本当はそれは誤解で。
みんなにその誤解を解きたい気持ちはあるけれど、それで雲雀さんのファンが増えるのは嫌だった。
見た目は怖いかもだけど、それ以上にかっこいい…。自慢の彼氏です。
「名前、もうすぐ仕事が終わるから帰ろう」
「はいっ…!」
普段、仕事がある日は、邪魔になるといけないと思って先に帰る私だけど、今日は違っていた。
…だって、今日は私の誕生日なんだもん。
でも、雲雀さんには誕生日のことは言っていない。だから、いつも先に帰る私が待つと言った時、少し驚いた顔をしていた。
「んーっ、終わった。…待たせたね」
「だ、大丈夫です!私が待つと言ったので!」
雲雀さんは伸びをして、椅子から立ち上がった。そしてそのまま私の座るソファへ。
「…で、どこへ行きたいの?」
「……はい?!」
突然の質問に、私は驚きを隠せなかった。
「僕とどこかへ行きたいんだろう?」
「えっ…えっ…?」
話が全く読めない私は、雲雀さんの問いに何一つ受け答えが出来なかった。
「今日は…君の誕生日だそうだね」
「…!」
これで話が読めた。雲雀さんは、私が誕生日だから、どこか一緒に行くと言ってくれていた。
でもどうしてそれを知って…。
「君の教室の前をたまたま通ったら、草食動物達が騒いでいたからね」
雲雀さんは私の心を読むかのように話した。
今日のお昼休みに、沢田くんや京子ちゃん達が、小さなお誕生日会を開いてくれたのだった。
きっとその時に教室の前を通ったのだろう。
「何で僕に誕生日だって言ってくれないの?」
「…え?」
「彼氏の僕には祝って欲しくなかったのかい?」
「ちがっ…!」
私が何も言えないでいると、雲雀さんは溜息をついて私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「…僕も名前を祝いたい。
今から町へ出てプレゼントを買いに行こう」
私はそれを聞いて小さく首を振った。
「…雲雀さん。いいんです、プレゼントなんて。その代わり、今日はずっと一緒にいてくれませんか」
雲雀さんは、そっと私を体から引き離した。目線が重なると、私達は静かにキスをした。
そして、雲雀さんは耳元で一言。
おめでとう
(来年はきちんと祝うから)
(その前に、雲雀さんの誕生日ですね!)