DREAM 黒子のバスケ | ナノ




頼れよ


高校卒業後、私たちは別々の大学へ進んだけどこうして今も関係は続いている。何だかんだ2年目である。今日は、大我の運転で、旅行に来ている。そんな私はただ座っているだけではなく、地図を見ながら大我に次行く方向を教えていた。

「…ナビ設定すればいいのに(ボソッ」

「お前のナビのがいーんだよ」

そんな風に恥ずかしいことを、恥ずかしいとも思わず言ってしまう大我。…昔から変わっていない。

「それよりほら、次はどっちだ?」

「あー、えっと…次を右に曲がったらしばらくまっすぐみたいだよ」

「りょーかい」

大我は慣れた手つきでハンドルをきる。バスケをしている時とはまた違った顔だ。

「…んだよ、あんまりこっち見んじゃねーよ。視線が痛いわ」

「んー?大我、またかっこよくなったなぁって」

「…るせぇよ」

そう言って照れ隠しなのか、私の頭をわしゃわしゃと撫でる。その後、何度か地図を見て指示しているうちに私は酔ってしまった。大我に言って心配かけるほどでもないと思ったので私はなんとか指示を続けた。

「……い!おい!名前!」

「うあっ?!な、何?!事故?!」

「ちげーよ、バカ。何度も呼んでんのに気付かないなんてどうしたんだよ。」

「え、嘘?呼んでた…?」

「おう、超呼んでた。…疲れたか?」

「ご、ごめん。ちょっとぼうっとしてた」

指示は続けていたものの、そろそろ限界がきていた。私は言うほど強くない。むしろ、酔いやすい体質であった。

「…お前、酔っただろ」

「え?」

なんでこの人には隠そうとしてもバレちゃうんだろう。

「お前のナビがいいなんつったけど、無理してまでやってほしいなんて思ってねぇからな。」

「…うん、ごめんね。酔っちゃった」

「んなことだろうと思ったぜ」

そう言って大我は、ちょうど道幅の広くなったところに車を寄せた。

「どうしたの?」

「どうしたのじゃねぇよ。お前が酔ってちゃ先進めねぇからな。俺、地図読むの下手くそだし。それに、そろそろお昼だし休憩だよ、休憩。」

大我は後ろの座席に置いておいた、コンビニで買ったおにぎりを出した。

「お前にはこれ」

買った時よりはぬるくなってしまったが、ほどよく冷えたお茶を渡してくれた。

「あ、ありがとう…」

私は蓋を開けて、喉を潤した。大我の優しさと、お茶で少しよくなった気がする。

「迷惑かけちゃって、ごめんね。せっかくの旅行なのに…」

「謝んな。車酔いなんてしょうがねぇだろ。…それよりも。そんな潤んだ目で見られると、我慢出来ないんだけど?」

「…え?」

そう言うなり大我は右手を私の左肩に置き、覆いかぶさった。目が合い、恥ずかしくて目を逸らそうとすると、そのままキスをされた。優しくて熱いキスを。

頼れよ
(辛くなったらすぐ俺を頼ること)
(うん…。心配かけてごめんね)



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