DREAM HARRY POTTER | ナノ




メガネちゃんとフレッドくん


「…っはは!んで、こういうのはどうだろう!」

「それはいい案だぜ!早速試してみよう」

俺はいつものようにジョージとリーと一緒にいると、談話室の隅で一人本を読んでいるメガネの女の子を見つけた。今までどうして気が付かなかったんだろうという疑問と、一人で本を読んでいる彼女に興味が湧いて俺は彼女に近づいた。

「ハーイ!」

「っ?!」

彼女は俺が話しかけるまで俺の存在に気付かないほど本に夢中だったらしく、声をかけるとびくっと体がはねた。

「やぁ、驚かせちゃった?ごめんね。ところで君、東洋人なの?髪綺麗だね」

「…えぇ、まあ、そうよ。ありがとう」

学校に入学してからかなりの日数が経ち、みんなそれぞれの友達とつるんでいるにも関わらず、彼女は一人だった。いつもはどうか知らない。今日がたまたまかもしれない。とにかく、俺は東洋人の彼女に興味を抱いた。当の彼女は俺には全く興味がないのか、簡単な返事をすると、また本を読み始めた。

「俺、フレッド。あっちが双子の片割れのジョージ」

邪魔をしちゃいけないとはわかっていたが、このチャンスを逃すまいと俺は自己紹介をした。自分を指差した後、遠くでリーと話をしているジョージを指差した。彼女は、一旦本から目を離し、俺を見た後ジョージを見た。

「…本当に似ているのね、あなたたち。見分けがつかないわ」

そして目線はまた本へ。

「まあね。俺らを一発で見分けられる人なんてそういないよ。…君、名前は?」

「…ナマエよ。ナマエ・ミョウジ」

「へぇ…!ナマエかぁ!ねえねえ、ナマエって呼んでもいい?」

「…えぇ、どうぞ」

ナマエは話を続ける気がないのか、簡単な返事しか返してくれなかったが、それがなぜか俺には迷惑がっているようには見えなかった。質問したら答えが返ってくることをいいことに、俺はいくつか質問をした。

「ナマエの出身地はどこなの?」

「日本よ」

「へぇ日本なんだ!親は、魔法使い?それともマグル?」

「二人ともマグルよ」

二人ともマグル。それを聞いたら俺の父さんが喜ぶな。なんて言ったって、マグルの生活に興味があるんだから。

「あの…さ?今度時間がある時でいいから、マグルの生活の仕方教えてくれない?…その、父さんがそういうのすごく興味があって、話してあげたいというか…」

「えぇ、わかったわ。時間のあるときにね」

時間のあるとき、という部分を強調して言ったように聞こえ、やはり邪魔をしていたのかもと反省をする。そして、ナマエは静かに本を閉じた。うるさくしすぎただろうか。ナマエは何も言わずにかけていたメガネをはずした。

「…!」

驚いて声が出なかった。…話に夢中で気付かなかった。ナマエはとても可愛かった。別に、メガネをかけているときがそうでもない、というわけではない。ただ、純粋に可愛かった。俺は、白い肌に綺麗な黒髪のナマエに心を奪われた。

「…それで質問は終わりかしら?」

ぼうっとしている間に、ナマエはさっさと片付けをすまし、席を立っていた。俺が何も言わずにいるのを不思議がり、その場を立ち去ろうとしていた。

「あ!…あの、さ」

「?」

急に呼びとめられたナマエは振り向いた。

「メガネ…、普段からかけておいたほうがいいと…思う」

誰にもナマエの可愛さを知ってほしくなかった。独り占めしたかった。

「いやよ」

ナマエはそういった。

「メガネは本や勉強するときだけで十分なの」

メガネちゃんとフレッドくん
(頼むよ…!)
((…メガネ好きなのかしら))



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