DREAM K | ナノ
不器用な愛のかたち
「あー、…尊?」
「…なんだ」
「ちょっと最近、過保護すぎる気がするんだけど…」
「黙ってお前はここにいろ」
「…はい」
最近、尊の過保護度が増してきている気がする。私は別にそこらへんにいる普通の女の子とは違って、少し喧嘩が強いわけで。だから、ある程度のことなら自分の身は自分で守れる。それなのに、尊は最近私をみんなと行動をともにさせない。
「尊?私も尊の役に立ちたいんだけど…」
「…」
「やっぱり、女だから?確かに吠舞羅のメンバーはみんな男の子で、私は女の子だけど…。私も、みんなと同じように戦えるよ?だからさ…」
「うるせぇ」
そういって尊は私のやかましい口を自分の口で塞いだ。
「みみみみこっ…!///」
突然の出来事に、私はうまく話せなかった。
「お前は十分役に立ってる」
「…へ?」
「俺のそばでそうやって笑っていてくれるだけでいい」
「尊…」
「心配すんな。いざとなったらお前も出動させっから。…だから、それまではここにいろ」
そんな風に考えていてくれていたなんて、まったく知らなかった。尊は口数が少ないから、たまに何考えているのかわからないけど、それでもたまにこうやって話してくれる。
そんな尊が好きです。
「私、吠舞羅にきて本当によかったな」
「そうか」
「出雲や多々良、美咲に力夫…。みんな優しくしてくれるし、面白い。本当の家族みたいに接してくれる。私の大切な家族」
「…優しいからな、あいつらは」
「そして何より、尊に会えてよかったよ」
本人を目の前に言うのは少し恥ずかしく、私はえへへと笑って誤魔化した。
「だから、ありがとうね、尊」
「なんだよ、改まって」
「うん、ちょっとね。急に言いたくなっちゃって」
改めて考えると私は幸せ者なんだな、と実感する。
「俺も…」
「?」
「…俺もお前に会えてよかった。名前」
私はあえて返事はせずに、尊に抱き着いた。
「私ね、尊が好きだよ」
初めて打ち明ける、長い間秘めていた想い。返事が欲しいとか、そのあとどうなりたいとかではく、単純に。私の気持ちを知っておいてほしかった。
「…うすうす気づいてた」
「ええ?!」
予想外の返事に私は思わず起き上がり、尊を見る。…が、それは彼に抱きしめられ阻止された。
「…今、こっち見んじゃねぇ」
「みこ、と…!」
力加減を知らない彼の抱擁は少し苦しかったけど、いやではなかった。
「よく聞け。一回しか言わねぇから」
「…え?」
「」
私の耳元で尊の低音ボイスが、私をおかしくさせる。
不器用な愛のかたち
(い、今…す、好きって…!)
(だからこっち見んじゃねぇ!)