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浴衣


「一緒に行ってくれないかな?」

そういって夏休み中に、真琴くんから夏祭りに誘われた。夏休みに入ってから、連絡は取り合っていたが、電話はなく、久しぶりに真琴くんの声を聞いた。そして、今回がいわゆる初デートというやつです。

「じゃあ、5時に駅前で!」

真琴くんと最後に電話をしてから三日後、とうとう夏祭りの日。もちろん昨日は緊張して眠れなかったし、いまだに緊張している。服だってどんなの着て行っていいかわからず、結局お母さんに勧められて浴衣で行くことに。初デートで浴衣って、気合入りすぎてないかとかいろんな思いが駆け巡る。

「名前!そろそろ行かないと遅刻するわよ!」

お母さんの声で我に返る。初デートで遅刻だけは絶対にしたくない!私は急いで家を後にした。

家を出ると、浴衣を着た人やカップルがたくさんいた。私も今日はあんな風に見えるのかと思うと、緊張が増してくる。慣れない下駄を履くことを考えて、私は待ち合わせの30分前を目標に家を出た。そして、駅に着いたのはだいたい予定通りの時間だった。

「…え?」

の、はずだった。駅にはやはりカップルが多く、人でごった返しているのにも関わらず、私はすぐに見つけることができた。

「…真琴くん…!」

彼もまた私と同じ30分前に着いていた。私は小走りで真琴くんに近寄る。

「…え?名前…?!だ、誰かと…思ったよ」

そう言って真琴くんは私から目をそらした。やっぱり気合入れすぎちゃったかも…。

「ご、ごめんなさいっ」

「へ?!な、何で?」

「は、初デートなのにこんな…」

そう言って私は軽く浴衣を摘まむ。真琴くんは私服なのに。そんなことを考えていると…

ーーぎゅっ。

「こっちこそごめん。…その、俺、これでもすげー喜んでる。ってか、浴衣似合い過ぎてて正直余裕ないっていうか…。って、俺なに言ってんだろ!」

「えぇ!」

「だ、だから、…凄く可愛いよ」

真琴くんは耳元でそう呟いた。真琴くんを見ようと少し離れようとしたら、まだこっち見ないで、とまた抱きつかれてしまった。

浴衣
(だから、襲われても文句言わないでね?)
(ええぇ?!)


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