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下校の道を


「はい、じゃあ今日の練習はここまで!」

「「はーい」」

マネージャーの松岡さんの掛け声と共に今日の部活が終了した。私は、彼氏である遙くんを教室で待つのが日課になっていた。

「今日も楽しそうだったな」

水泳部でもマネージャーでもない私は、教室の窓から見える水泳部を眺めるが好きだった。一つ下の葉月くんの楽しそうな笑い声とそれにツッコミを入れる竜ヶ崎くん。それを楽しそうに見守る部長の橘くん。遙くんは何も言わないけど、きっと橘くんと同じ気持ちで眺めていると思う。

「……待たせたっ…」

はぁはぁ息の上がる遙くんが教室に入ってきた。あそこからここまで、かなりの距離あるのに、走ってきてくれたんだ…。

「ううん、大丈夫だよ」

「…今日も宿題してたのか」

「うん。今日は特別多かったから」

まだ少し髪の濡れている遙くんを見ると、ドキッとする。

「じゃ、じゃあ、帰ろう…か?」

「ああ、そうだな」

付き合って間もない私たちの会話は、いつもあまり長くは続かなかったけど、一緒にいれる時間が私には心地よかった。

「あ、苗字さんまた明日ね。ハルも」

「ああ」

「橘くん、さようなら。部活お疲れ様でした」

廊下ですれ違った橘くんに別れの挨拶をして、駅へ向かう。

「今日も楽しそうでしたね、部活」

「ああ。あいつらとリレーが泳げることが嬉しいんだ」

そういって遙くんは、目を輝かせて言った。そんな遙くんを見てると、こっちまで嬉しくなってくる。

「…名前は水泳部入らないのか?」

「わ、私?!」

「泳げなくてもマネージャーとしてなら出来るんじゃないか?一人じゃ大変だろうし」

ふいにそんなことを言われて私は、言葉が出なかった。

「マネージャーなら、松岡さんがいるよ。確かに大変だとは思うけど、松岡さんはすごく頑張ってるし、私はそれを陰で支えていけたらいいな」

いつも松岡さんは楽しそうに私に水泳部のことを話してくれるんだよ、と付け加えておいた。
そうこうしているうちに、ホームに着いた。

「そうか。確かに頑張ってるよな。すごく助かってる」

「ふふ。それ、本人聞いたらとても喜ぶと思うな」

ホームのアナウンスが、私たちの乗る電車が到着することを告げる。ドアが開いて、二人分空いている席を先に遙くんが取ってくれる。

「それでね、遙くん……?」

座るや否や、遙くんは静かに寝息をたてて眠ってしまった。

「…お疲れ様、遙くん」

下校の道を
(そ、そそそれにしても遙くん…!私の肩に頭乗せるの反則…!///)
(すー…すー…)


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