○○彼氏 | ナノ
自覚しろ
別に、話しかけられたから話しただけ。それなのに、紘ときたら。
「何、他の男子とよろしくやってんの?」
「別にそういうつもりじゃ…!無視する理由だってないし…」
「お前は俺様のもんだろ?」
紘はたまに理不尽なことを言う。そんなこと言ったら、紘だって他の女の子と話してるのに。
「…紘だって」
「あ?」
「紘だって、他の女の子と話してるくせに」
「俺様はいいんだよ」
紘にそんなことを言われて、何も言う気になれなかった。
「…もういい。今日は一人で帰るね」
これ以上何を話しても無駄だと思われたので、帰ろうとした。
「おい、待て。話はまだ…」
「これ以上紘と話すこと、ない」
泣きそうになるのをこらえて何とか言葉を紡いだ。どうして私ばっかり…。
そう言うのをぐっとこらえて、くるりと後ろをむく。
「待て」
ドン!という音とともに、私のすぐ後ろは壁に。逃げようにも、真剣な紘の目に見つめられ、自然と動くことができなかった。
「…悪かった」
紘はそういった。
「他の奴らが、最近…お前が可愛くなったっていうのを聞いて…妬いた」
「…へ?」
「だからお前には簡単に他の男と話してほしくなかった…」
それから紘はどんどん顔を近づけてきた。私はなすがままに紘を受け入れた。
小さなリップ音を立てて、触れるだけのキスをした。紘と目が合う。
そして紘は、もう一度キスをした。抑えきれなくなったのか、次第に激しくなっていく。噛み付くような深いキス。
「んんっ…!」
「悪ぃ…、抑えきれなかった」
息苦しくなった私を見て、紘はぱっと離れた。
「名前は…俺様のもんだ。自覚しろ」
自覚しろ
(独占欲強いね)
(当たり前だろ?何を今更。)