DREAM うたプリ | ナノ
おかえりなさい
時計をちらりと見ると、間もなく日付が変わろうとしていた。
結婚してからも、蘭丸さんの仕事はありがたいことに順調だった。
「それでも、ここまで遅いとさすがに心配だなあ…」
先ほど来たメールには、先に寝ていてくれなんてあったけど、家に帰ってきて誰にも「おかえりなさい」を言ってもらえないなんてさみしい。それに、少しでも蘭丸さんと一緒にいたかった。その時、ガチャリと私を起こさないようになのか、静かに玄関の鍵が開いた。
「おかえりなさい!」
私は走って玄関に行き、蘭丸さんに抱き着いた。
「っ?!/// ちょ、名前、寝てたんじゃ…!」
「蘭丸さんを待ってました!」
えへへ、と私は蘭丸さんに微笑みかける。
「…本当かなわねぇな」
蘭丸さんはかすかに頬を染めて、それから私の頭を撫でた。
それから蘭丸さんはお風呂に入り、いつもより早く出てきた。
「今日はいつにもまして早いですね」
私がそういうと、髪の濡れたまま蘭丸さんが後ろから抱き着いてきた。シャンプーの香りが鼻をくすぐる。
「あ、あの…!髪の毛乾かさないと風邪…」
「お前がさっき可愛いことすっから、我慢できなくなった」
低い声で耳元で囁かれ、くすぐったい。蘭丸さんはさらに強く抱きしめてきた。
「はぁ…」
そして、大きなため息を一つ。
「…大丈夫ですか?」
私がそう問いかけても返事がない。私は少し腕の力が弱まった隙に、くるりと体を回転する。
そして、背伸びをして蘭丸さんの頭を撫でた。
「お仕事、おつかれさまです」
「っ…!!」
蘭丸さんははじめ驚いていたけど、少し嬉しそうに見えた。
「…わりぃ、手、濡らしちまったな」
そういって蘭丸さんは私の手を取って、水をふいてくれた。
「あ、ありがとうございます…」
大きくて、温かい手に私はドキドキしてしまった。全て水をふいてもらい、手を放そうとすると、ぎゅっと掴まれた。
「え…?」
「すまん…もう限界だ、名前」
そういって、私の手に優しく蘭丸さんの指が絡まる。そして、私の腰に蘭丸さんの手が添えられ、勢いよく引き寄せられる。少し見つめあったあと、触れるだけのキスをした。
「…ふっ。物足りなさそうな顔だな」
「そ、そんな!」
ちがいます、と言おうとする前に、もう一度キスをされた。
「ん…」
「…んな声出すな、…止まらなくなる」
おかえりなさい
(ら、蘭丸さん!!髪の毛乾かしてください!!)
(…ちっ。んじゃあ、続きはベッドで、な?)