DREAM うたプリ | ナノ




油断してると


「…!…っ!おい!」

「ひゃあ?!」

「ひゃあ、じゃねぇよ、大丈夫なのか?」

「え、あ…。ちょっとぼーっとしてただけだよ」

そういって苗字はえへへと笑って見せた。俺はまたか、と思った。ここ最近、新曲づくりだとか言ってろくに食事も睡眠もとっていないことを知っていた。
本人は隠してるつもりだろうけど、はっきり言ってバレバレだ。

「そんな顔しないで、本当に大丈夫だから」

知らぬ間に眉間にしわが寄っていたらしく、苗字は俺の眉間に指をあてた。
俺たちのために新曲を作ってくれるのはありがたい気持ちでいっぱいだが、苗字もST☆RISHのメンバーである。誰一人かけてはいけない。だから余計に心配だった。

「…お前が俺たちのために頑張ってるのは知ってる。ただ、頑張りすぎんな。お前が倒れたりしたら、俺は…」

「翔くん…」

苗字は俺の名前をつぶやくと、甘えるように抱き着いてきた。

「なななななっ?!///」

「ごめんね、でも…、少しだけ。少しだけこうさせて…?」

俺の腰あたりに回された腕は、いつも以上に細く感じさせた。そして、俺もそれに答えるかのように苗字を抱きしめた。

「…お前細すぎ。ちゃんと食え」

「…うん」

「あと、一人で全部背負い込もうとするな。…俺を頼れ」

「…うん」

「休む時はちゃんと休んでくれ。寝ない・食べない日を作るな」

「…ばれてた?」

「当たり前だ」

苗字は何かおかしかったのか、ふふと笑った。

「な、何がおかしいんだよ!」

「…私のこと、よく見てるなあって」

「う、うるせぇ!///」

本当のことを言われて悔しかったから、抱きしめる腕を少しきつくした。

「翔くん…?」

その声が俺の名前を呼ぶたび、どれだけ心が弾むか知らないだろ。俺は、腕を緩めて苗字と目を合わせた。

――ちゅっ

きょとんとしている苗字にキスをしてやると、顔は真っ赤になっていた。

「あんまりぼーっとしてっと、…またすんぞ」

油断してると
(しょ、翔くん?!///)
(ぐぁぁああ!ちくしょう、なんだこれ、すげぇ恥ずかしい!)





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