DREAM うたプリ | ナノ




君のために


2月14日。女の子も男の子もソワソワする日。私もその一人。今日の予定はまず、ST☆RISHとQUARTET NIGHTのみなさんにチョコを渡して、夜の7時まで仕事。そのあとは…、彼氏の神宮寺さんに改めてチョコを渡す。…本命の。そして、二人で夜を過ごす。完璧!

「おはよう、苗字!」

「あ、一十木くん!おはようございます!」

「うん、おはよう。今日は一段と冷えるねー!」

一十木くんと一緒に歩き、他愛のないことを話しながら楽屋へ向かう。

「おはよう、苗字」

「聖川さん、おはようございます!」

「名前ちゃん、おはようございます!今日も可愛いです!」

聖川さんに挨拶をしていると、隣から急に那月くんから抱き着かれた。

「おいこら、那月!苗字が嫌がってんだろ?!はーなーれーろー!」

「えー?別に嫌がってませんよね?…あ、もしかして!翔ちゃんもしてほしかった?」

「ちーがーうー!…ってうわぁ!やめろ!」

今度は翔くんが標的になったみたい…。

「だ、大丈夫、翔くん?お、おはよう…」

「おう、だ、大丈夫だ。おはよう…」

「それじゃあ、みんなで仲良く楽屋へ行きましょうねぇ!」

私たちは、それぞれのことを話しながら楽屋へ着いた。

「あ、黒崎先輩。それに皆さんも。おはようございます」

「おっはよーう!ぼくちんは今日も元気だよーん!」

すでに楽屋にはQUARTET NIGHTのみなさんがそろっていた。

「今日はみなさんでお仕事なんですよね!しかも生放送!残念ながら、今日は夜まで仕事なので見れませんが、ばっちり録画してきました!!」

楽しみだなー、嶺ちゃんたちとのお仕事!!と、一十木くん。

「遅れてすみません、今来ました」

「イッチーとそこで偶然会ったから一緒に来たよ」

「一ノ瀬さん!神宮寺さん!おはようございます!」

「おはようございます、苗字さん」

「うん、おはよう。レディ」

私と神宮寺さんが付き合ってることは内緒。だけど、目が合うだけでドキドキしてしまう私にとって、みんなに隠し通せるかが不安…。

「これ、楽屋の近くのソファに置いてありましたが、誰かのですか…?」

「セシルさん!!」

最後に楽屋に入ってきたセシルさんの手には、私がこれからみなさんに配ろうとしていたチョコが入った紙袋だった。

「そ、それ…私のです…」

どこでどうして置いてきてしまったのかは分からないけど、とても恥ずかしかった。

「そ、その今日は、2月14日、バレンタインということで、みなさんにチョコをお作りしてきたのですが…」

「まじ?!苗字の手作りチョコだー!」

「音也、はしゃぎすぎです…」

まずはじめにST☆RISHのみんなから配り、次に先輩へ。

「カミュ先輩のは特別甘くしてみました」

「…フン、わかっているようだな」

それから私は仕事があるので、とおじぎをして楽屋をあとにした。


夜の7時。本日最後の仕事が終わり私は急いで家に向かっていた。今日2月14日はバレンタインでもあり、…彼の誕生日でもある。私は急いで部屋の掃除をし、料理をたくさん作って神宮寺さんの訪問を待った。その時、携帯がメールの着信を知らせるために震えた。

「神宮寺さんからだ…!」

心躍る気持ちでメールを読むと、今日は急な仕事が入ってしまい、帰るのが夜中になるという内容だった。最近、ST☆RISHではもちろん、神宮寺さん個人の仕事も増えてきていて嬉しい半面、なかなか会えなくなっていた。神宮寺さんが遠い人のように思える。私は、お仕事頑張ってください、とだけ返信をしておいた。

「お仕事なら仕方ないよね。ごはんラップしておかないと…」

私は急な眠気と闘いながらラップをした。そのあとの記憶は…。


「…!……レディ!起きてよ、レディ!」

ゆさゆさと揺らして起こすのは、神宮寺さんだった。

「あれぇ…、神宮寺さんがいる…。夢の中で会えたぁ…」

「レディ、夢じゃないよ。起きて!」

寝ぼけてなかなか起きない私に、神宮寺さんはキスを一つ落とした。

「…じ、神宮寺さん?!」

「おはよう、レディ。起きてくれた?」

私はあのまま眠ってしまったらしく、神宮寺さんに起こしてもらった。どれくらい寝てしまったのかと時計を見ると…。

「え、まだ9時?!」

まだ私が寝てからそんなに時間経ってないし、夜中に帰ってくるはずじゃ…?

「レディのために早く仕事切り上げてきたのと、向こうの都合で仕事が明日にまわったのさ」

ウインクする神宮寺さんに私は思わず泣きながら抱き着いていた。

「ど、どうしたんだい、レディ?」

「じ、神宮寺さんがどんどん遠い存在になってしまうみたいで…!みんなの神宮寺さんなのに、…独占したいって思っ…」

私が最後までいい終わらないうちに、神宮寺さんは私を抱きしめ返してくれた。

「レディ…、わからない?今こうして俺を独占してるよ?」

神宮寺さんは額にキスをした。

「俺の心も体も全部、…レディのものだよ?もちろん、レディのすべては俺のもの」

そして今度は唇に触れるだけのキスをする。

「神宮寺さん…」

「レディ…」

「…お誕生日、おめでとうございます」

ここからは、二人だけの時間の始まり。

君のために
((仕事を断ったことは内緒にしておこう))
(?)



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