CP 薄桜鬼 | ナノ
目の届く範囲で


散歩がてら買い物をしようと、家から少し歩く街へ向かっていた。買い物といえば、千鶴に任せきりで、ここには久しぶりに来た。あまりに来ないせいか色々変わっている気がする。

「さて…、特別何かを買う訳ではないがどこへ行こう」

そう考えながら、周りを見回し歩いていると、千鶴の好きそうな店があったので立ち寄ろうとしたその時。

「千鶴ちゃーん、いつもありがとうね!」

向かいの店から聞き覚えのある名前が呼ばれているのに気付いた。まさか、と思いながら後ろを振り返ると、そこには千鶴がいた。向こうはこちらに気付いていない。声をかけようと一歩歩き出したその時。

「あ、千鶴ちゃんじゃないかい!今日は寄って行かないの?」

今度は二つ先の店から名前を呼ばれている。しかも先ほどから声をかけてくるのはどちらとも男であった。

「こんにちは、お魚屋の小川さん。今日も美味しそうな魚が沢山ですね」

「どの魚も新鮮だよ!千鶴ちゃんなら俺、割引しちゃうよ!」

小川と呼ばれたその男は、頬が赤い様に見えた。

「ふふふ、ありがとうございます。でも、すみません。今日はお魚必要ないんです。また今度お願いしますね」

「お、おう!いつでも待ってるからね!」

千鶴は小川に軽く会釈をしてその場を去った。俺は急いで千鶴の後を追いかけた。

「っ…千鶴!」

「ち、千景さん?!どうしてこちらに?!」

千鶴の問いに対して何も答えず、変わりに勢いよく自分の体に引き寄せた。

「あ、あのっ…?!///」

「いいから少し黙っていろ」

目の届く範囲で
(千鶴、今度から俺も買い物に行こう)
(い、一体どうしたんですか?!)

お題配布元 確かに恋だった 様より
お借りいたしました


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