CP 銀魂 | ナノ
行かないで
銀ちゃんの周りにはいつも誰かがいる。だから、いつお前はいらないって言われるかわからなかった。私にはそれがたまらなく怖かった。私の居場所はそこしかないのに。
「おーい、神楽ー?いつまで寝てんのー」
「…」
「神楽ー?」
「…今起きたアル。ただ、ちょっと…ちょ、調子が悪いネ」
本当はずっと前から起きてたし、体調だってバリバリ元気。…まぁ、ちょっと寝すぎて頭は痛い。
「なんだー?お前、昨日拾い食いでもして腹壊したのかよ」
「あー…、うん」
今朝見た夢がこんなにも自分をダメにさせるとは。―銀ちゃんが離れていく夢。ろくに働かないし、ジャンプばっか読んでるけど。そんな銀ちゃんが好きなのに。『お前はもういらねぇ』その一言で私は捨てられる、という夢をみた。『なんで?』と聞いて答えを聞く前に目が覚めてしまった。夢でよかったと思った。
「じゃあなに、薬飲むか?」
現実の銀ちゃんはこんなにも優しい。嘘ついてごめんね。
「…いい」
「なんだよー、結構やられてんじゃねーか」
どすどすと銀ちゃんの足音が近づいてくるのがわかる。今はそっとしておいてほしーアル。
「よっと」
そのまま近づいてきて、銀ちゃんは私の布団の横にどかっと座った。
「嘘ついてんじゃねーよ。お前が腹痛なわけあるか。…何があったんだ?」
その一言で自分の中でせきとめておいた何かが、いっきに涙となって流れ出した。
「銀ちゃん…」
「ん?なんだ、何かほしーのか?」
「…私を置いてどこかに行くなヨ…?」
突然予想もしていなかった言葉に、銀ちゃんは言葉を詰まらせたと思う。それでも銀ちゃんは
「何があったか知らねーが、俺はお前を置いてどこか行くよーな真似はしねぇよ」
そういって、私の頭を撫でた。
行かないで
(銀ちゃん…大好きアル)
(…おう)