DREAM 薄桜鬼 | ナノ
それは、きっと


「山崎さん!お買い物ですか?」

「あぁ、苗字くん。そうだが…」

「わ、私もご一緒していいですか?!」

夕飯の材料を買いに行こうとする山崎さんを見つけた私は、咄嗟に声をかけていた。
普段、何事にもあまり積極的になれない私にとって、こうして想いを寄せている相手に対して声をかけただけ凄いと自分でも思う。

「苗字くんも何か買う物でも?」

「はっ、いえ!私は…その…!」

山崎さんと一緒に買い物に行きたいだけで、特に買う物はありません、とはもちろん言えるはずがなく、答えられずにいた。

「落ち着け」

そう言ってしどろもどろになる私の頭の上に手をぽんっと置いた。

「っ…!」

「きっと、その場に立てば買いたい物も思い出すだろう」

「は、はいっ…」

落ち着いた私を見た山崎さんは、よし、と言ってその場を歩き出した。

「今晩は山崎さんが夕飯担当なんですね。私も手伝っていいですか?」

「そうか、それは助かるな。では、今日の献立は何がいいだろうか」

あれもこれもと私が候補を出して、その中から一つ山崎さんは決めた。

「じゃあ、これで決まりだな。まずは…」

山崎さんは何かブツブツいいながら、どの店から回ろうか決めていた。

「あそこから回りませんか?」

私が店を提案すると山崎さんは笑顔で承諾してくれた。2人でこうして歩いていると、周りからはどう見えるんだろうと呑気なことを考えてしまう。

「…よし、この店は終わりだな。次はー…、あそこらへんでいいか」

私がそんなことを考えている間にも、山崎さんはとっとと買い物を済ませてしまう。

「す、すみません私ってば!いるだけで何の役にも立っていませんね…。せめて荷物だけでも持ちますね!」

私は、山崎さんの両手を塞いでいた荷物の片方を持とうとした。

「君は女だろう。そういうのは男に任せれば…!」

しかし、それを奪い返そうとする山崎さん。その時、ちょうど2人の手がぶつかった。

「す、すまん!」

と、同時に山崎さんの顔が赤くなった。

「苗字くんといると…調子が狂う」

「…え?」

山崎さんは私を真っ正面から真剣に見つめ、確かにそう言った。

「何でもないことなのに、変に緊張したりしてしまう。…君はこの気持ちがどういうものか知っているか?」

それは、きっと
(わ、私も同じ…気持ちです)
(?!)

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