DREAM 薄桜鬼 | ナノ
分かってる?
「あ、藤堂さんだ…」
私がここに来てからどれくらい経つだろうか。
町で飢えて倒れていた私を助けてくれたのが、藤堂さんだった。
こんな身なりをしている私を助けてくれた藤堂さんに是非ともお礼をしたいと言うと、
屯所に連れてこられたのであった。
今ではすっかりここでの生活も慣れ、とても満足した生活を送っている。
「今日も…かっこいいなあ…」
そして、私はいつの間にか目で追うようになっていた。
「おはよ、名前ちゃん」
「きゃあ!?」
どこから現れたのか、私の背後からぎゅっと抱きついてくるのは沖田さん。
初めの頃は斬っちゃうなんて言われてて、とても怖い人だと思っていたけど、
今ではそれが本心じゃないことも、とても優しい人だいうことも分かっている。
「お、おはようございます、沖田さん」
「朝から庭の掃除何て偉いね」
なでなで、と言いながら沖田さんは頭を撫でてくれる。
「こら、総司!何してやがる!早く来い!」
「げ…、土方さんだ。呼ばれてるの忘れてた。じゃあね、名前ちゃん♪」
急に出てきたと思ったら、急にいなくなってしまった。
沖田さん、大丈夫かな…。また一人になった寂しさを堪えながら、再び庭の掃除を始めた。
「名前じゃん、庭掃除お疲れー」
すると突然後ろから声をかけられた。
「と、藤堂さん…!」
なかなか話すことのない藤堂さんから話しかけられた私の心臓は飛出しそうだった。
「毎日屯所の掃除やら洗濯ありがとーな!」
よっと、といって藤堂さんは縁側に座った。
「名前もここ、座んなよ。休憩、休憩!」
「は、はい…!では、失礼します…」
促されるまま、私は少し距離をあけて座った。
藤堂さんは最近の出来事や、永倉さんと原田さんの話を楽しそうに話してくれた。
聞いているだけで笑顔になれた。
「それでさ、左之さんが今度島原へ行こうって誘ってくれたんだけど、どうもなぁ…」
「どうしてですか?」
「い、いや、俺…好きな奴いるからさ。そんなとこ行くよりも…」
そこまで言って、藤堂さんは口を閉じた。そして、私を見た。
「好きな奴のそばにいたいって思うだろ…?」
その顔はとてもその人を愛していることが痛いほどに伝わってくる顔だった。
「その方…とても藤堂さんに愛され…!」
最後まで言い終わる前に、藤堂さんの口付けによってそれは阻止された。
「…そうだな、お前は俺に愛されてるよ」
「え?!」
そう言って、藤堂さんは私にもう一度口付けをした。
「今度から藤堂さん禁止な?」
分かってる?
(へ、平助くん…!)
((え、何この萌える生き物))