DREAM 薄桜鬼 | ナノ
エイプリルフール


「名前ちゃん、あべこべゲームしようか」

沖田さんの言うことは、いつも唐突だった。

「あべこべゲーム…ですか?」

「そう、あべこべ。じゃあ、スタート!」

…そして、いつも拒否権はない。

「僕は名前ちゃんのことが好きだよ」

「…私も沖田さんのことが好きで…ん?」

あれ?確かあべこべって、思っていることとは反対のことを言うことじゃなかったっけ?
自分で言うのも何だけど、私と沖田さんは付き合ってる訳だし、ここは普通嫌いなんじゃ…?
それとも、私のこと嫌いになったのかな…?

「おーい、名前ちゃん?まだ終わってないよ?僕は名前ちゃんのこと大好…」

「…り…せん」

「ん?なあに、聞こえないよー」

「沖田さん何てもう知りません!」

「あらら。怒っちゃった」

この後に及んでまだそんなこと言えるなんて…。本当に私、嫌われちゃったのかも…。
そう考えたら、涙が止まらなかった。

「え、ちょ、名前ちゃん?!これゲーム!」

「っく…ひっく…」

「……」

泣いてばかりいる私に困り果てた沖田さんは、突然ぎゅっと抱きしめてきた。

「お、沖田さ…」

「名前ちゃんさ、何か勘違いしてない?」

「勘違い…?」

沖田さんは、一度抱きしめる腕を緩めて、私と目を合わせた。

「さて、今日は何月何日?」

「き、今日は…4月1日です…けど」

今日は別に沖田さんの誕生日でも、私の誕生日でも、またそれ以外でも特に大切な日ではなかった。
一体それが何と関係してるというのか…

「……あ!エイプリルフール!」

「正解♪」

ってことは…!
あべこべで好きの反対は嫌い。
でも、今日はエイプリルフールだからそれは嘘。何ともまあ複雑である。

「名前ちゃんにはちょっと難しかったかな?」

「ば、バカにしないでください!」

軽く沖田さんを叩こうと手を上げた。
しかし、その手は簡単に沖田さんに掴まれ、そのまま押し倒される形になった。

「いじめちゃって、ごめんね?」

「…もう知らないですっ」

「あべこべゲームはもうお終い」

そう言って、沖田さんは静かにキスをした。

「僕が君を嫌いになれるはずがないんだ。こんなにも君に夢中なんだからさ」

「お、沖田さんは…ずるいです」

エイプリルフール
(来年は私が沖田さんを騙します!)
(そういうのって前持って言っちゃダメなんじゃない?)

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