DREAM 薄桜鬼 | ナノ
もう一度君に会えたら


【沖田side】

僕は結局、名前との約束を守れなかった上に、1人にさせてしまった。君があれからずっと毎晩泣いてるのは知ってる。…だって僕はいつでも君のそばにいるから。この一年間、片時も離れずに。君は毎日毎日、僕と別れたあの場所に綺麗な花を供えにくる。

「今日は…ちょうど一年目だね」

僕は、自分に言い聞かせるかのように呟いた。忘れたことはなかった。忘れられるはずがなかった。君は、いつになったら笑ってくれるだろうか。

「沖田さん…、今日も来ました。知っていますか?今日はあの日からちょうど1年経つんです。…早いですね。今日は沖田さんもこの場所へ来てくれると信じて、少しお話しして行きますね」

この日だけじゃない。僕は片時も君のそばを離れたことはない。そして、君も今日が一年目だということを覚えていてくれたことが、素直に嬉しかった。名前は、ちょっと話して行くといって、近くの木の幹に腰掛けた。僕もその横に腰掛けた。

「…沖田さんが逝ってしまってから、私は心に決して埋まることのない大きな穴が空いたような毎日を過ごしていました。何度もあなたの元へ行こうともしました。…でも、絶対失敗してしまうんです。」

名前が自らの命を絶って、僕に会いに行こうとしてたのには、複雑な気持ちだった。だから、僕は必死に止めた。君には僕の分まで生きて欲しかったから。…幸せに、なってほしかったから。君を幸せにするのが僕でなくても…。

「でも、それから私は沖田さんの分まで生きて行こうと、思えるようにまでなってきたんですよ。」

君が、笑ってくれた。それだけで僕は嬉しかったんだ。そして、名前は立ち上がり、僕もつられて立ち上がった。

「私は……ずっと、ずっと他でもない、沖田さんのものです。1年経っても2年経っても変わりません。…大好きです、沖田さん」

そう言って名前は、いつものように花を供え、手を合わせた。名前の気持ちが直に伝わってくるようだった。

「…それじゃあ、沖田さん。明日からも変わらず毎日来ますね」

名前はいつものように別れの挨拶を告げて、その場を立ち去ろうとした。明日だって名前は必ず来る。そう分かっていたのに何だかこれが最後のような気がして、僕は名前に駆け寄った。

「いつもいつも、ありがとう」

それから、僕は名前にキスをした。

もう一度君に会えたら
(今度こそ伝えたいんだ)
(僕と幸せになろうってね)

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