twitterで呟いた小ネタをちょろちょろと。
「同題ssリボーン【@doudai_ss_re】」様より出るお題を使用。
1日1つ、平日が主で気まぐれ更新です。
大体沢田の呟きで内容はつなむくっぽい



▽鬼白
桃源郷。
そこはいつも穏やかな音が奏でられている場所。
鳥の囀りや木々の揺れる音は亡者の叫び声や仕事の喧騒に慣れた耳には些か優しすぎるほど。

急ぎの仕事を終わらせた鬼灯は以前依頼をした漢方を受け取りにうさぎ漢方極楽満月へと向かっていた。
いつも通る道をゆっくり、日頃の疲れを癒すように歩く。
地獄の方が性に合っているとは思っているけれど、たまに来るここもまた鬼灯にとって好きな場所だった。

のんびりと散歩を楽しむように道を進めば、なんだかとても耳障りな音が聞こえてきた。
何の音かはわからない。ただこの場所には似合わない、むしろ地獄にぴったりなその音に鬼灯は顔をしかめる。
足を進めれば進めるほど近づくその音。いつもならば草を食べる兎達がぽつりぽつりと現れるはずなのにそれもいない。

「何かあったのか…?」

地獄のことはよく知っていても桃源郷の異変まではわからない。
金棒を握る手に僅かに力を入れて目的地へと足を速める。

雑音にしか聞こえなかったその音は次第に大きくはっきりしてきた。
それはどうやら何かの言葉で、メロディのようなものだった。
しかし、それをメロディなんて呼んだらきっとその世界の者から総スカンを喰らいかねない、そんな雑音だった。

「〜♪…げ、お前かよ」

「………」

不快な音にかおをしかめながら漸く店へと辿り着くとそこでその音は止まった。
というよりは、雑音の発生源が漸くそれを止めたと言った方が正しい。
店の店主、白澤は実った仙桃の収穫をしていた。恐らく何かの材料にするのだろう。
そんな彼はどうやら上機嫌だったらしく鼻歌を歌っていたらしい。本人が言うには鼻歌というものを。

「原因はお前か…」

「は?何行ってるの?どうせこの前頼んだ漢方取りにきたんでしょ?出来てるから入って待っててよ」

先に店に入る白澤に続いて中へと入った鬼灯はそのがらんとした有様に目を開く。
この店にはいつも兎に溢れていた。だが今は一羽もいない。
いつも笑顔で迎えてくれる唯一の人間の従業員桃太郎ですらいなかった。
原因は考えるまでもなく明白だ。

「…桃太郎さんは?」

「あぁ、なんか突然倒れちゃって今自室で休んでるよー」

あぁやはり、鬼灯はそう思った。
鬼人ですら頭痛と吐き気をもよおし、情緒不安定になるような音だ。死んでいるとはいえ人間の彼が絶えられるはずがない。
なんで桃太郎が倒れたのか、まさか己が原因だとは露にも思っていない白澤は犬猿の仲の鬼灯がいようともまだご機嫌なのか、頼まれた漢方を取りにいくと言いまた雑音もとい歌を歌いながら奥の部屋へと消えていった。

扉の向こうから未だに聞こえてくるものの、壁を隔て幾分ましな今のうちに鬼灯は思考を巡らせる。
別に白澤が音痴だろうがなんら地獄に影響はない。むしろあいつの歌が呵責となるような地獄を作ってやろうかと思う位だ。(例えばカラオケで悦に入りすぎてマイクを独占する人間や、異常にはハウリングするマイクばかり置いてるカラオケ店の店主とかが落ちる地獄だ)
そこまで考えて鬼灯は首を振る。
いや、今はそういうことではない。自分にとって死活問題だ。

そう、この状況は鬼灯にとってとても芳しくないことなのだ。
もふもふ対象の兎は一羽もいなく、いつもお茶と手製の甘味を出してくれる桃太郎は寝込んでいる。
いるのは上機嫌の白豚一匹。

言いようのない腹立たしさに眉間の皺が深くなる。

「お待たせ〜♪御代は10万元…」

「そいや!!!」

「うおぉおお!!??」

そんなふつふつとした怒りに引火させるように鼻歌と一緒に登場した白澤目掛けて金棒が飛んでくる。
寸でのところで下へ滑り込んで避けた白澤は轟音とともに扉に突き刺さった金棒を見上げて声をなくしていた。

「さて…どうしてくれようか…」

「え!?何が!?金額ぼったこと!?何に対しての怒り!?」

「とりあえず貴方の機嫌を地の底に落とすとして…後は声でも潰してやりましょうか」

「は!?何言って!?」

「さぁ来いや、白豚」

青筋を浮かべ鬼の名に相応しい形相を浮かべた鬼灯はギャンギャンと喚く白澤の襟首を掴めばそのまま寝所へと消えていった。

こうして桃源郷に平和が戻ったのだった。
ただ一人、なんでこうなったか分からず泣く白澤を残して。


2014/04/21 12:31


▽【金】
「それで?結局のところいくら出せるの」「さすがにファミリーの金には手を出せない。オレのポケットマネーだとこれくらいしか…」「は。話にならないね。僕は帰らせてもらうよ」「!待ってくれマーモン!!夢の骸ハーレム計画まで後一歩なんだ、頼むよマーモンんんん!!!」 

2013/02/01 10:30


▽【眠り】
珍しいこともあるものだ。沢田はそう思いながら木に身体を預けて眠る男を見た。印象的なヘテロクロミアは今は瞼の下で、普段よりもその容姿は幼く見える。さらりと髪を撫でても起きる気配のない眠り姫に沢田は言い知れようのない喜びを感じるのだった。

2013/01/11 10:01


▽【リボ謎かけ」
「横綱とかけ綱吉ととく」「突然何?」「日本の謎かけというやつです。ほら聞いて下さいよ」「はぁ…その心は?」「どちらも脱ぐと凄いでしょう!君は最初は相撲と同じ下着一枚でしたからね!」「まぁ脱ぐと凄いのは骸が実証してるよね」「え?何脱いで…クフー!?」

2012/12/19 11:39


▽【写真撮影】
今思えば不自然だった。各地に飛び散っている守護者を急に集めて「みんなで記念撮影しよう!」だなんて。群れることが大嫌いな雲雀恭弥まであの時は何も言わずカメラの前に立って。写真の中で笑う貴方は今、冷たい箱の中。手の中でくしゃりと写真が悲鳴をあげた。

2012/12/19 11:31


▽【「」空白】
眩しさにうすらと目を開ければベッドの端に座る彼が見えた。彼の隣はとても気持ちよくて、何時も寝すぎてしまう。ぼんやりとその背中を眺めていれば視線に気付いたのかこちらを向いた。しかし発せられる言葉を理解する前に、その声の心地良さにまた眠りに落ちた。

2012/12/10 13:31


▽【当たり前】
「漸くあのレストラン予約取れたよ!夜19時予約だからそれまでに仕事終わらせろよ」夕食の約束などしていただろうかとふと視線を向けたカレンダーが示す12月という月。あぁ、そうか。24日を君と過ごすのはもう10回目になるのか。

2012/12/07 09:12


▽【黒歴史】
「おや、珍しい。君がCDなんて」「ずーっと欲しかったCDがやっと手に入ってさー。うん年前のだからすっごい探して」「どんな曲なんですか?」「今流すよ」『さ、あー!ぼーくとー♪契約ーしま』ブチィ!!「堕ちろ。そして巡るな」

2012/12/06 16:46


▽【乳首】
男の乳首ってなんであるか知ってる?身体って元々女性として作られていて、女性は授乳に必要だから乳首がある。で男のはその名残で付いてるなんてのが定説らしいよ。それが正しいとしても結局男には必要ないってこと。…まぁ骸を喘がせる為にくらいは存在意義ある、よなぁ?

2012/11/30 14:43


▽【葛藤】
ただその重厚なる扉をノックして昨日仕上げた報告書を渡す。そして「クロームのお勧めなんです」と言って箱に入ったケーキを差し出し「お茶でも一緒にいかがですか?」と問い掛けるだけ。ただそれだけ。なのに僕は一体この扉の前に何十分いるのだろう。

2012/11/28 11:04


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