放課後の教室は少し寒くて、(財前・雪城桔梗さんから)




(ったく誰やねん、一緒に帰りたいから部活終わるん待ってる言うたんは)


寒さが身にしみる冬の季節。寒いし俺は部活やし、先に帰れ言うたら彼女は待ってると言い出した。俺の部活が終わる頃にテニスコートへ行くと。けど、いざ終わって着替えて出てみれば、先輩の姿はない。先に帰ったのかとも思うたが、無断で帰ることもないだろうと思い、まあどっかで寝とるんやろ、なんて思いながら携帯を鳴らして先輩を探し回っとるところ。けど携帯を出る気配もなければ、どこにもおらん。元家庭科部やから調理室や被服室にも行ってみたけどおらんし、図書室にもおらんし、自分の教室にもおらん。まさかと思って外も探したけどやっぱりおらん。


(あーもー。此処探しておらんかったら帰るからな)


最後に来たのは俺の教室。電気はついていないその教室の扉を開けて見渡せば、やっと見つけることができた。先輩は俺の机に突っ伏して寝とった。


(何やねんな、もう…)


はあ、と溜め息をついて先輩に近付く。先輩の顔を覗きこめば、幸せそうに眠っているその寝顔が目に飛び込んでくる。…ほんま、のんきやで。こんな寒い中こんなところで爆睡出来るなんて。肩に手を置いて体を揺する。


「おい、起きろー。帰るでー置いてくでー」


けど起きる気配が全くない。もしかしたら連日の受験勉強で疲れているのかもしれない。けどこんなとこで寝とったら風邪引くやろ…。俺ですら寒い。寒くないわけないよな…。持っていたジャージを肩にかけて、前の席に座って先輩を見る。


「…ほんま、無防備やな。俺以外のやつが来たらどないすんねん」


無防備に投げ出されている先輩の手を指でつつく。すると先輩は俺の指をきゅっと握った。


「…子供か」


思わず笑みがこぼれた。


放課後の教室は少しくて、

(きみの手はこんなにも温かい)


スッゴく好きな財前のお話を書く桔梗さんがサイトを倉庫化してしまうそうで…そのために最後のフリリクをしてましたので真っ先に挙手して書いて頂いたものです。財前を好きになるきっかけのひとつになった桔梗さんにまさか書いて頂ける日が来るんて思ってませんでした…!嬉し過ぎる…!

桔梗さん本当に本当に、ありがとう御座いました!大好きです!


2013.1.1.Tue


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