午前零時(ブン太)
ちょっとドキドキするこの瞬間
ただ今の時刻、午後十一時三十分
もうすぐ…午前零時
* * *
ちょっと前、流行の歌にこんなのがあった。
セブンティーンを歌った曲。
その歌を聞いた時、私は無性にこの十七歳に憧れていた。
そう、私はもうすぐ十七歳。
携帯を眺めて、特にする事もなくだらだら夜更かし。
何だかドキドキする。
「私も十七歳か…」
別に何かある訳じゃない。
ただ、何かが変わったような感じ。
明日になったら…全て眩しくなるかな…?
携帯を見る。
ただ今、午後十一時四十五分。
「ん?」
メール受信中。
こんな時間に誰?
「え、ブンちゃん?」
メールの相手は彼氏のブンちゃん。
こんな時間になんだろうと思い、開封。
「は!?」
内容。
窓の外、見てみ?
何!?どういう事よ!
まさかな…と思い、窓の外を見ると…
ブンちゃん!
…叫びたいのを堪えた。
「ブンちゃん!どうして…」
叫べないので電話で…
そしたら、耳元で優しい声。
『咲良の誕生日、一番にお祝いしたくてな。そしたら来ちまった』
「…」
声が出なくなった。
まさか…こんなサプライズがあるなんて。
『今、ちょっと出て来れる?』
「あ、うん。ちょっとなら」
『ちょっとで構わねぇよ』
ただ今、午後十一時五十分。
私の誕生日まで…後十分。
もう両親は寝ちゃってるから、バレないようにこっそりと家の鍵を開けて外に出る。
少しひんやりとした空気が心地良い。
「よっ、シンデレラ。王子様のお迎えだぜぃ?」
「もう…」
ちらと時計を気にするブンちゃん。
見えた時間は午後十一時五十五分。
「悪ぃなこんな時間に」
「ううん。凄く嬉しい」
そう言って抱き付く。
そしたらブンちゃんは私の事、ぎゅっと抱き締めてくれた。
神様有難う。
特別な私の十七歳。
彼の腕の中で迎える事が出来て嬉しいです。
「…誕生日、おめでとう…」
「有難う…」
言葉と共に甘いキス。
十七歳になった瞬間、全てが眩しく見えた。
貴方も…周りも…夜空も何もかも。
「本当はこのままさらって行きてぇ気分」
「ん…そうする?」
「止めとく。未来のとうちゃんかぁちゃんに心配かけたくねぇし」
「み、未来!?」
「…俺、将来咲良と結婚するつもりだから」
しれっと重大発言を打っ放し、私の指に指輪をはめるブンちゃん。
え…これ…って…?
「俺からの誕生日プレゼント。ついでに咲良は予約済み…ってな」
私の薬指に輝くのは、小さいながらも誕生石が埋まった指輪。
ヤバい…ちょっと感動しちゃった…
こんなのいつ買ったんだろう?
いつの間にバイトなんてしてたんだろう?
「謹んでお受け致します」
涙でもう景色がぼやける。
それをそっと拭われて、あやすような口付けが送られた。
午前零時(ガラスの靴を受け取ったシンデレラは、王子様と幸せになりました!)
end...
多分、途中に入ったシンデレラ云々の台詞を言わせたかったのだと思う。色んな意味で気合いの入った企画の丸井さんドリーム。
因みに私の担当お題は『午前零時』でした。
2007.2.17.Sat(UP:2007.2.17.Sat)
kirika@Loveberry * Raspberry
ロマンチストに恋をした。様提出済み。
thanks!!:
ロケットパンチ
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