そんなこと、言わないで。(ブン太)




「何食ってんの咲良さん?」
「ガム」

そう答えた咲良さん。
ぷーと膨らます。意外と綺麗に膨らむガム風船。
そしてすぐぱちんと風船が弾けた。

「何で急にガムなんか食ってんだ?」

普段ガム食う姿なんか見た事ねぇのに。
俺じゃねぇんだから…と言葉を飲む。

「んー…キミの味がするから…かな?」
「は?」
「キミ、いつもガム食べてるじゃん?だから…」

俺が食うから?俺の味がすっから?

おいおい…
そういう事言うなってーの…
この人は…
先輩だし頼れる姉さんみたいだけど。
だけどこういう場所ってやっぱり女の人だ。
すっげぇ可愛いと思う。

「咲良さん…それ可愛過ぎだろぃ…」
「先輩に向かってそんな口聞かないのー。キミの方が可愛い」
「いーや咲良さんの方だろぃ?」

はっきり言わない咲良さん。
遠回しに…伝わる要求。
そんな回りくどい表現をするのが可愛い。
だってよ、それって…

「俺とキスしたいって事だろぃ?」
「ば、馬鹿っ!ちが…っ…!」
「頂き…」

やっぱり図星だったのか真っ赤になった先輩にキス。二人してガム噛んでたからガム味のキスになった。

「随分…甘いね…」
「ガム食ってたからな」
「…キミとのキスは…ガムの味か…」

ポソリと咲良さんが呟く。
甘い雰囲気に、甘いテイスト二人分。

「これから、ガム食べる時ドキドキするかもアタシ」
「んじゃあ俺もガム食う時は咲良さんとのキス味だって思って食おう」
「そ、そんな事…」

ちゅっと唇を当てて言葉を封じ込める。
…俺も、ガム食う回数増えるかもな…
この甘さにハマっちまいそうだ。
後咲良さんとのキスの回数…も増えるかもな…

「自分でガム食べるより…キミとガム食べる方好きだな…」
「そんな遠回しに言わなくても、俺とキスしたいって正直に言えば良いだろぃ?ま、そういう所がまた好きだけどな」
「…そんな事…恥ずかしくて正直に言えないよ…」


そんなこと、言わないで。
(キスしたくなっちまうだろぃ?)


end...


『そんなこと、言わないで。』のお題で書かせて貰った丸井さんの夢こっちが提出した方。没と比べて明るいらしい。
こっちもデフォルトは麗奈ちゃん。

2007.2.12.Mon(UP:2007.2.12.Mon)
kirika@Loveberry * Raspberry
Kiss You!様提出済み。
thanks!!:梅酒ジンジャー

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「見えない臓器の名前は」
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