俺の後ろのキッチンから玲の支度をする音が聞こえる。どうやらスープを温めているみたいで、コンソメのいい匂いがしてきた。

俺たちはというと新崎が元宮にしきりに話しかけている。


「玲君とはいつから仲良いの?」

「中二の頃からですね。玲は昔からここら辺には住んでたけどしょっちゅう引っ越すんで、初めは家が隣だったんですよ」

俺の時とは違いやけに素直に質問に答える元宮。キチンと上下関係は守るようだ。俺なんかよりそいつの方が危ない奴だぞと言ってやりたい。

「玲君ってモテるでしょー」

「そうですね、…特に同性から。」

マジか。

まぁ、なんとなくわかってしまうような。
笑顔とかこう、ぐっとくるし。庇護欲って言うか。

「まぁ、大体は俺が知り合いって分かると諦めていきますけどね。(ニコリ)」

…笑顔が黒い。こいつ絶対腹黒だわ。

「…でも、最近好きな人が出来たみたいで、」

そう言いながら元宮は視線を俺へと移す。なにやら意味ありげな顔をし言葉を続ける。

「最近一緒にいてもその人の話ばかりなんですよ。」

「えー!マジか〜。どんな人??」

新崎の好きそうな話だ。こいつは精神年齢まだ10代だからな。

「そうですねぇ、色々と言ってましたけど、俺的にはなんでそんなのがいいのって感じですね。」

やけに毒舌だな。
そんな良くない奴なのか?ビッチとか?化粧ケバすぎとか?最近の高校生って大人だからなー。

そして俺を見るな。そっぽ向いてるけどお前の視線で首筋がピリピリするんだよ。

あーもう、どうでもいいから早く玲帰って来い。
そう念じた次の瞬間。

「はーい!用意できましたぁ〜!」

いいぞ!玲!久しぶりに空気読めてる!!





「俺、家でやる焼肉とかめっちゃ久しぶりだわ。」

「そうなんですか?」

目の前に並ぶ大量の肉とサラダにスープ。そして新崎が買ってきた大量の酒と玲の作ったつまみ。

めっちゃいい匂いだわ。

「肉焼いてもいい?」

「あっ、はい!草壁さんはお肉の種類はどれが好きですか?」

トングで玲が山盛りの肉の中から2、3枚取りホットプレートに並べながら聞いてくる。
俺は玲の手元を見ながら考える。

「タンかな…」

この歳で脂っこすぎるのはちょっとキツイからな。

「本当ですか!?良かったぁ!草壁さんタン好きそうだなって思って少し多めに買ったんですよ〜」

と、ニコニコ笑顔で言う玲。
とても可愛い。
そして鼻歌を歌いながら肉山の中からタンを取り出し、焼き始めた。

「懐かれてんな〜あっ、ちなみに俺はカルビが好きだぜ」

「あっ、そうなんですか?じゃあカルビも焼いておきます〜」

「やった!」

その間元宮機嫌鬼悪。

苦笑いしつつビールのプルタブを開ける。
やっぱり仕事終わりのビールは一番。さっきまで冷蔵庫の中に入れてあったからよく冷えている。新崎も話をしながらもビールに手を伸ばす。
元宮も…

「お、おい!お前未成年だろ!」

なに自然にビール開けようとしてんだよ!
俺の指摘も聞かず、プシっと音をさせプルタブを開ける元宮。そして一口飲むと缶を置き、ハッと悪どい顔になる。その顔川越シ◯フか。
…イケメンが台無しである。

「俺の家の成人は15なんですよ〜」

なんだこいつ!キャラ変わってるし、ムカつく!!舐めてんな!

なんとかしろと言う意味を込めて玲を見やれば文字通り指をくわえビールを見ていた。
そういえば初めて会った時、玲酔いつぶれてたな。

「玲、お前ほんと酔いやすいんだから駄目だ」

元宮がそう言って玲の前に並んだビールや焼酎を遠くに避けた。

「あ〜…」

あ〜って。本当最近のワカモノはどうなってんだ。

「玲、お前未成年だろ?」

「う、草壁さん…」

なんだこの小動物感!…あぁ!上目使いまでっ!

「こ、今回はパーティーだから特別な」

酒の束から比較的軽いジュースのような酒を1缶玲の前に置いてやった。

自分が可愛いものに弱いことがわかった。




ーーーー

!!(未成年の飲酒はダメゼッタイ!お酒は二十歳になってから!!)




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