「生きてるッて何だろうな」
「うん」

散々吐き出した白い液体も、涙も、汗も、何もかもなかったかのように寒さしのぎにシーツにくるまって俺たちは会話する。
求め求められた体は気だるく、まだじっとりと肌が湿り気を帯びている。俺が寝そべるすぐ真横で軽く上半身を起こし、ベッドのボードに背中を預ける加藤もまた少し肌が上気していた。

見上げた横顔はいつもの俺の名前を呼ぶ不抜けた顔ではなくあの日地下鉄で自分達が死んだこと、今まで対面した星人、あの部屋、仲間の死、自分の死、色々な事を思い出し考えているような顔をしている。


前にも考えてみたが、自分たちは死んでるけど生きてる。FAXのコピーみたいな存在。現に俺は2人いる。
けれど、考え方は俺だし行為に快感も伴うしタエちゃん好きだしオナニーもするし過去もある。携帯のメモリーだって死ぬ前とかわらない。学校でも、紛れもなく俺は玄野計だ。

しかし本当に自分は玄野計なのか。生きているのか。生きていると錯覚してるだけじゃ……そう考えた時に、自分を見る加藤の視線に気が付いた。


「計ちゃん?」
「え、あ、あぁ、うん?」
「いやなんかスッゲェ難しい顔してたから……痛かッた?」
「スッゲェ難しい顔はお前もしてたッてー…はァ」

のそりと体を動かし加藤の同い年にしては自分と違いすぎる胸板に体を預け、首に腕を回して呟いた。

「気持ちよかッたよ、かとう」
「!」

まぁこんなの俺が巨乳の子に散々やられたいと願ってた事を加藤に実行してみただけの事なのだが、喜んでいいのか悪いのか、加藤に対して効果が出てしまったようで真っ赤な茹で蛸が今目の前にいる。

「けッけいちゃん!?」
「ンー?」

焦るコイツが非常に面白くて、もっとからかってやろうと俺は首に回す手を強めて首元に顔を埋めた。散々動いたから仕方ないのだが、そこからは汗の臭いと、形容しがたいドキドキするニオイがした。これがフェロモンなのかと実感させられる。


「その、」
「…」
「計ちゃ…ん?」
「……」
「ッ……計ちゃんがいけないんだからな…ッ」
「ッうッわ!?」


ぐるりと視点が反転して、一気に体がベッドに沈む。目の前には加藤がいて、俺の両手は加藤の手に捕まれて、二人分の体重を受けたベッドはギシッと音を立てた。


「…ッはは…元気じゃん加藤」
「計ちゃんのせいだッて…」

さっき自分がしたように首元に顔を埋められ、ちゅ、とそのままキスをされた。





(やッぱ俺は玄野計なんだよな)


(計ちゃんッてあいつが呼んでくれる限り俺は玄野計だ。)







110307
何が書きたかったのかいまいちわからないくらいには二人が好き
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