短編 | ナノ


男のロマン


私には尊敬すべき上司が居る。

イタリアンマフィア最強のボンゴレファミリーの十代目ボス、沢田綱吉様。歴代切っての穏健派でありながら、その強さは初代の再来と謳われるほど。部下からの信望も厚く、敵にさえも慈悲をお掛けになるその姿は正しく大空。まだお若いと言うのに本当に素晴らしいお方だ。

ただし………真面目にしていれば。

「メイドといえばやっぱり“お帰りなさいませ”って言ってもらうのが男のロマンだと思わない?名前」

ほらまたワケの分からないことを言い出した。ボスに執務室に呼び出され、ついついうんざりしそうになる顔を隠して首を傾げる。

「出迎えた時にそう言いましたはずですが…」
「うん、お帰りなさいませボスとは言ってくれたけど。違うだろそこ」

ああ、嫌な予感。超直感なんてそんな大層なものがなくとも分かる。

「はぁ…では何と?」
「お帰りなさいませ“ご主人様”って言ってみ名前」
「逝ってらっしゃいませご主人様そして二度と帰ってくるな」
「アハハ照れるなよ」

(偉大なるボスはどこにいった!)

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