Let's 採点 LOVE | ナノ


(01)


「んー……」


机に伏せて、オレは思い悩んでいた。


「うー・・・」


頭の中、いろんな情報がごちゃごちゃしている。


「あー……」

「……やかましい、」


と、そんなオレをうっとおしく思ったのだろう。
紳くんが、呆れたような視線をオレに向けた。


「……壱、便秘?」


と、譲が、まるで見当はずれのことを言い出す。
……便秘って。たとえそうだとしても、こんなとこで踏ん張んないよー。


「ちっがーうよ!!オレも、思い悩んでるのっ!!」

「何を?」

「ひ・み・つ!!……影のある男は魅力的だからね。……紳くんしかり!」


問いかけてきた譲に返答して、紳くんをバーンと指差す。
すると紳くんは、指差したオレの人差し指を掴むと、手の甲の方向にぐいっと曲げた。


「痛い痛い痛いっ!」

「指差すな」

「いったーいっ!ドSはあずみちゃんにだけ発揮してよっ!!」

「アホか。……俺はあずみには、一応優しい」


絶対嘘だ!!
だって、紳くんとあずみちゃんが「バカップル」って言われるようになったのも、男避けのために紳くんがキスマーク付けまくったのが原因だって言うじゃん!
そして、当時あずみちゃんに言い寄ってた男の前で、熱烈なディープキスかましちゃったらしいじゃん!校門の前で!!
それに、あずみちゃんたまにぐったりしてるって奈緒言ってたし!
これがドSじゃなかったら、なんだよ!
しかも、一応って!ちょっとは自覚してんじゃん!!


……あ。今の内容が分かんない人は、「快楽を呼ぶ悪魔」の番外編を見てね


「どうせ、大澤のことだろう」

「ぎゃあっ!?」


紳くんのドSっぷりを披露していたオレに、紳くんがにやりと笑いかけた。
そして、なぜだかオレの悩みの種をピタリと当てる。
……う、宇宙人だ!


「大澤・・・?あの、マドンナさん?」

「そうそう、マドンナさん!」


マドンナにさんをつけるな、譲。


「マドンナさんねー、オレの幼馴染なの!」

「へ、え・・・初耳」


そういや、ほとんどの人が知ってることだったから……。
今さら、譲には言ってなかった気がする。


「あのさあ・・・悩み、聞いてくれる?」


上目遣いで紳くんに尋ねると、紳くんは一瞬嫌そうな顔をした後、オレの頭を叩いた。


「……人生相談は好きじゃないんだけどな。まあ、いい。話せ」

「いい、よ。今日、美姫さんちょっと遅くなるって、言ってたから・・・な」


譲・・・。本当に、女王様の犬だな……。
あの、わがまま女王に……。いいやつすぎる!


「あのねえ……オレ、奈緒が大事なの」

「ああ、」

「うん」





でもねえ、それって恋愛感情じゃないんだあ。
奈緒への気持ちって、そういう次元じゃないって言うか……。
大好きなの。でも、奈緒は奈緒で、恋人にしたいってわけじゃないんだよ?
奈緒がほしいけど、「彼女」にしたいわけじゃないの。
「彼女」とかと、ちょっと違うの。
家に帰って、窓開けたら奈緒がいてっていうのが幸せなの。
だから、オレもいままで好き勝手してきたし、奈緒が遊んでるって聞いても……まあ、ムカツクけど。奈緒のこと誰かが抱いてるって思うと、そいつ殺したくなるけど……。
……っていう感情がね、最近すごいの。前々からあったっちゃああったんだけど、最近激化してるっていうか……。
奈緒のこと、ぐちゃぐちゃにしたいの。わんわん泣かせて、もう壊しちゃいたいの。
でも、すげえ優しく、どろどろに甘やかしてやりたくもなるの。
誰かと奈緒がしゃべってるだけで、ムカついてムカついて仕方ないの。
でも……オレ、こんな感情、いやだ。胸ん中真っ黒で、どうしていいか分かんない。





……と、いうようなことを、オブラートに包んで、回りくどく説明した。
そりゃ、そうだよ。『ぐちゃぐちゃにしたい』なんて、言ったら絶対引かれる。


支離滅裂で、言い切ったオレ。
はあっと息をついて「どう思う?」と問いかけると、紳くんと譲は、顔を見合わせてはあっとため息をついた。


「……バカだバカだと思っていたが、ここまでとは……」

「壱、それ・・・そんなに難しく考えるような問題じゃない」


2人は、呆れたように口を開いた。






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