愛☆猫 | ナノ


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Side Hayato




「あた……っと。ぼく、三宅 歩です。これから、よろしくお願いします」


そう言って、小首をかしげながらにこりと笑ったそいつ。
思わず……見惚れる。


マジで、可愛い。つか、美人系?
正直、ちょっと人間っぽくない……とか言ったら、失礼なんだろうけど。
栗色の髪に、パッチリした青い目。
まつげも長くて、唇は上向きのキレイな桜色。
こう言っちゃなんだけど……人形、みたいだ。
フランス人形とか、なんかそんなん。


って!
アホか!オレは女の子が好きなんだ!
男に走る趣味は無い!!


と、心の中で唱えつつも、目を惹かれるのは事実。
やばい。コイツと同室?
オレ、ちゃんと友だちできるのか?


「わー…きれーっ」


翔太の声で我に返る。
オレの後ろにいた翔太に目を向けると、キラキラした目で三宅を見ていた。


こういうとき、素直にそんなことが言える翔太のキャラクターが羨ましい。
翔太は、オレの後ろからぴょこんと出て、三宅の手を取った。


「おれ、寺岡翔太!ええっと…お隣りだよ!んで、向こうでぼーっとしてんのが冴島 雅!おれの同室なんだあ!」

「よろしく……」


珍しい。
雅も、ちょっとぼーっとしていたようだ。
雅が片手を挙げてあいさつをすると、三宅はにこりと笑った。


「三宅 歩です。えっと……歩、でいいよ」


三宅……もとい、歩。
……やべえ、マジで可愛い。
どうすんの?オレ!





「……あの、」


つか、こんな男、いんのかよ!
いや、実際いいるから否定するのもなんだけどさ!
肌とかめちゃくちゃ細けーし……つか、何人?なんでこんなキレイな青い目してんの?カラコン?カラコンだよな?


「あ、のー?」


髪も……染めてる、わけじゃなさそうだし。
だって、すげえキレイだもん。
唇も……って!そこ見ちゃダメだろ!オレ!


「……飯田、くん?」


やばいやばいやばい。
オレはゲイじゃないホモじゃないバイじゃなーいっ!
可愛いとか思うなオレのばかやろう!





「飯田くんっ!」

「「颯斗!」」



「うわっ!」


上から、歩、翔太&雅、そしてオレ。
急に名前を呼ばれて、驚く。……あれ?さっきから呼ばれてたっけ?


「な、なに……?」


びっくりして問い返すと、歩がちょっと口を膨らませた。
……か、かわっ!


そんなオレの心情なんかつゆ知らず、歩はぺこっと頭を下げた。


「飯田くん、同室だよね?よろしくね」

「よ…よろしく」


そう言って手を差し出してきた歩の手を取る。
手、やわらけえ。


……って! オレのバカっ!


「ねね、歩! おれのこと、翔太でいいからねえ?」


オレが歩の手を握ってぽーっとしていると、翔太がオレから歩の手を奪い取った。
それで、ぎゅうっと握り締める。


「あ、うん。翔太・・・くん?」

「んーん。くんいらねえよお」


ぶんぶんって首を振った翔太に、歩が笑いかけた。


「あはっ。翔太、可愛い!」

「え」


花が咲いたように、くすりと笑う歩。
いやいやいや、あなたのほうが可愛いですよ。


歩の顔って一見冷たそうに見える。
ちょっと怖いくらいに整っているし、目はオレたちと違う色をしているし。


でも、笑い方とか、表情がコロコロ変わるから……。





…………。
やばいよな、オレ。
こんなこと、まじめに実況している場合じゃねえだろ。


歩は男!
これ、キーワードにしよう。


「えと、飯田くんは……」

「……オレも颯斗でいいよ」


翔太は呼び捨てなのに、なんか悔しいし。
そう思ってちょっとぶっきらぼうに言うと、歩はきょとんとしたあと、ちょっとはにかんだ。


「よろしくね、颯斗!」





……歩は、男!
男なんだからなっ!






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