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海底神殿の入口らしき場所が見つかったらしい。

光の女神がアクトを光の子、と言っていたのは彼が光の一族と呼ばれる部族の末裔だからだとかなんとか。おかげでますますアクトに興味が沸くし、光の一族と呼ばれる種族にも好奇心が掻き立てられるし、その対になる種族である、闇の一族の末裔があのヘルムードなのだというのを聞いたところで、これはもう最後まで付き合わなければならないという使命感が湧き上がった。レックのときは出来なかったけど、伝説が作られるところを間近で見ることが出来るかもしれない!

海底神殿の入口で新たな仲間を得た後、私達はいくつかのグループに分かれて進むことになった。アクトはマーニャに腕を引かれて、それを追いかけていったクリフトやアリーナ達と。ディルク様はゼシカとジュリエッタ、テリーを連れてそれを追いかけた。残った私とビアンカ、それからフローラはヤンガスに付いてホミロンというホイミスライムの捜索を主として動くことになった。海底神殿の中にも既にいくつかの魔物の扉が開いており、ヤンガスを主力として私達は進んでいく。


「そういえばナマエさんは、テリーさんと仲が良いのですよね」
「いきなりどうしたの、フローラさん」
「同じ世界から来られたと仰っていましたし、あのテリーさんもナマエさんには態度が柔らかい気がいたしますの」
「それは誤解じゃないかなあ……テリーは未だ良く分かんないし」
「そうでしょうか」
「私は仲良くしたいと思ってるんだけどね」


肩をすくめてホイミを唱えると、避けきれなかったせいで受けた腕の傷が緩やかに塞がっていった。「頼むでがす」「はーい」扉の番人をオノの一撃で沈めてしまったヤンガスには、消耗した体力にベホイミを充てる。冠を被っていて大人しいホイミスライムの姿は、このあたりには居ないみたいだった。ヤンガスはかぶりを振って、次はあっちを見てみるでがす、と再び先頭を歩き始める。


「でもテリーさんは、ナマエさんが来られて良かったと思いますのよ」
「フローラさん、どうして拳なんて握ってるんですか」
「私も一人でこの世界に迷い込んでいたら、きっと不安で押し潰されましたわ」
「うーん……テリーがいて良かった、って一番思ってるのは私の方じゃないかな」
「そうなのですか?」
「だって本当に安心したんですよ。会ったのも何年ぶりかだったけど…」
「そんなに長く離れていたの?」
「テリーが一人で旅をしてて、私達のところに帰ってこないってだけです」


顔を覗き込んできたビアンカさんに笑ってみせると、ヤンガスがぱっとこちらを振り向いた。「危ないでがす!」瞬間、ふわりと髪を揺らした風に熱が孕まれているのに気がついた。咄嗟に私の隣にいた、フローラさんの手を掴んで目の前のビアンカさんを押し倒す。私の頭をかすった炎はヤンガスのオノの一閃で切り裂かれて魔物の断末魔が響いた。そういえば、いつ敵が沸いてくるか分からないんだった。呑気に話なんてしている場合じゃない。

フバーハを唱えてから周囲を見渡すと、曲がり角の向こうに禍々しい色のゲートが見えて、そこからストーンマンが現れたのを捉えた。再び上空から吐き出された炎はビアンカさんの弓で撃ち落とされて、途絶える。ヤンガスにリベホイミを、ビアンカさんとフローラさんにスカラを重ねがけしてから魔物の扉に走り出した。なんだか、レック達と戦っていた時もこんな風に戦いをサポートしてたなあ、と思い返す頃には再びヤンガスのオノが地面を揺らし、扉の番人は光の粒子となって消え去ったのだった。







(2015/03/05)