リュゲルEND1
(主の発想が最低)
ガンダレスが好きだ。
でも、ガンダレスは私を嫌っている。
―――詳しく言うのなら、私を兄を苦しめる害悪として認識している。
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「……ありがとう、リュゲル」
優しすぎるリュゲルの顔をまともに見られない。俯いて拳を握り締めると、腕が震えているのが分かる。……どうしてリュゲルはこんなに優しいんだろう。どうしてリュゲルはこんな私に優しくするんだろう。――答えを私は知っている。リュゲルが私を好いているからだ。
私達は対等じゃない。リュゲルの気持ちを私は知っているのに、リュゲルは私の気持ちを知らない。ガンダレスが好きだという私の気持ちを、リュゲルは知らないのだ。それなのに私に無条件に優しくて、リュゲルを頼ることの出来る資格を無条件に私に与えている。
「ナマエ、何があったのか…俺には話せないのか」
リュゲルが顔を覗き込んでくる。リュゲル、リュゲルが私を心配している。それは好きだから?好きだからなんでしょう?リュゲルは私が好き。私を好いている。
私はガンダレスが好きだから、ガンダレスの言うことはなんでも聞きたいと思う。ガンダレスはリュゲルが好きだから、リュゲルがきっとどんなことをしても受け入れる。リュゲルは……私のことを好きなら、私のことを許すことが出来るよね。出来るでしょう?好きならしてくれなきゃ、…してくれなきゃ。
「ねえ、リュゲル」
「なんだ?」
「…私ね、リュゲルに告白されてね、考えてみたの」
握り締めていた拳を緩めた。だらり、と垂れた腕をそのままに顔を上げる。貼り付けた笑顔はきっとリュゲルには見抜けない。恋は盲目、それは私もよく知っている。
「―――私も、ずっと前からリュゲルのことが好きだったみたい」
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好きだと自覚してからリュゲルに近寄るのが恥ずかしくなったと、ナマエは言った。俺は嬉しくて嬉しくて、ナマエを抱きしめてからその唇に自らの唇で触れた。
本当はずっと不安だったのだ。ナマエと一緒にいても、ナマエの目線は常に俺の隣に注がれているような気がしてならなかった。けれど、そんなことは無かったのだ!
図書館に戻ってガンダレスに言うと、ガンダレスは怒ってナマエに殴りかかった。それをナマエは笑顔で受け止めた。そうして、俺の事が好きだとガンダレスに言った。「一緒だよ、ガンダレス。私もガンダレスと一緒なの」「一緒!?どこが!」「リュゲルが好き。リュゲルのことが好き。おそろいだね」――普段と、少しだけ違うその笑顔のナマエに少しだけ寒気がしたのは多分、俺だけじゃなくてガンダレスもだろう。
結果的にガンダレスはしぶしぶながらも、ナマエを認めた。やたらと敵視しているが、俺が言えばナマエと握手を交わしたのでまあ、気にすることではないだろう。そのうち仲良くなれるはずだ。
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私は最低の選択をした。けれどもこれでいいのだ!リュゲルと同じベッドの中で、体を抱きしめて喜びに震える。無条件の優しさは無条件の愛へと変化した。リュゲルからの愛はとても心地良い。そう、ここにいれば私は愛情を注いで貰えるのだ!
リュゲルの興味はずっと私に向いている。ガンダレスより私を優先するようになったリュゲルに、ガンダレスは不服そうだ。それに少し、寂しそうでもある。隙だらけのガンダレスの心に入り込むのは容易ではないだろうけど、確実にガンダレスは最初より私のことを信頼している。私がガンダレスの中のリュゲルに成り代わるのは、時間の問題だ!
(2014/01/25)