土砂降りの雨の日
※会話文多めっていうかほとんど会話のみ


「グリーンさん」
「何だよ」
「暇です」
「…ボールの手入れでもしてろ」
「全部終わりました」
「ポケモンの毛並みの手入れ」
「終わってます」
「コンディション調整」
「ばっちりです」


外は土砂降りの大雨。
こんな天気の日にジムに挑戦するトレーナーなんてそうそう居ないだろう。
つまり猛烈に暇なのである。


「ジムトレーナーって挑戦者居ないとすっごい暇ですよね」
「ジムリーダーにゃ仕事があるんだよ!色々とな!」
「グリーンさん何でイライラしてるんですか?」
「仕事があるっつってんのにお前のフシギバナのツルのムチが俺を拘束してるせいだろーが!」
「だって暇なんですもん!バトルしましょうグリーンさん!」
「嫌だよ!離せよ!片付けなきゃいけない資料があるし明日にはレッドも帰って来るんだよ!」
「分かりましたよー……あ、レッドさんならさっき傘さしてマサラタウンの方に歩いて行くの見ましたよ?」
「おま、何でそれ早く言わねえんだ!馬鹿か!?」
「だって声かけたら後でトキワジムにも寄るーって言ってましたし」
「……ちゃんとお前の目を見てそう言ったのか?」
「……………い、いえ、目を逸らしながら」


「よし今から速攻マサラに帰るぞ。暇ならナマエ、お前も来い」
「え゛っ、何でですか面倒くさい…ああでもレッドさんとバトルっていうのも」
「ボロボロにされるだろうからやめとけ」
「でもグリーンさんバトルしてくれないんですもん」
「だぁ――――ッ!バトルはいいから行くぞ!マサラに!」
「わ、分かりました分かりましたってば!耳引っ張らないで!?」


「………何やってんの、二人共」


「あ、レッドさんだいつつつつう!?」
「レッドお前何考えてんだ!?こんな雨の日にシロガネ山降りるとか馬鹿か!?」

「グリーンさん何思いっきり耳引っ張ってくれてるんですか!?あ、レッドさんレッドさん!私のフシギバナと是非バトルしてください!」
「ナマエはちょっと黙ってろ!いいかレッド、お前をどれだけみんなが心配してるか」
「…いいよ、バトルしよう。ちょっとは強くなった?」
「はい!グリーンさんに鍛えてもらえないんで他のジムトレーナー仲間とバトルして」
「…うわ、そうなの?じゃあグリーンの代わりに俺が鍛えてあげ」
「だーあーあーあーあ!!もういい!帰れレッド、シロガネ山に帰れ!」


「ひっ、酷いですグリーンさん!こんな雨の日にレッドさんに登山させるだなんて!」
「そうそう、一人だと危険なんだよこれでも。……そうだナマエ、一緒にシロガネ山来る?」
「はぁ!?お前は何を言い出すかと思えばまたそんな」
「山頂の景色って割と綺麗だし、山の上までリザードンでひとっ飛び」
「行ってみたいです…!あ、ちょっと晴れて来ましたし景色も綺麗だろうな、虹とか!」
「馬鹿!虹ならここでも見れるだろーが!シロガネ山ってのはむちゃくちゃ危険で」
「…グリーンの過保護」
「そうですよ!私だってバトルしたいお年頃なんです!」
「知るか!つーかレッドもナマエをたぶらかすんじゃねえ!」
「…たぶらかす?何のこと言ってるのグリーン?」
「ぜ、絶対分かって言ってるだろお前…!分かった、バトルしようぜレッド。今日は絶対負けねえ」
「え、ちょ、あの、二人共」
「…バトルはいいけど、俺が勝ったらナマエをシロガネ山に連れてくよ?」
「させねえよ。……いいか、良ーく聞いとけ」


「ナマエは俺んだ」


「…へぇ、言うね?じゃあ俺も負けられないな」
「いやあのお二人共ちょっと待ってください、私何がなんだか」
「ナマエは黙って俺達のバトル見てろ、俺はぜってー負けねえから」
「…俺に一回も勝った事ないのに?」
「うるっせー!今日は事情が違うんだよ事情が!」
「…はいはい、じゃあルールは?」
「3vs3の入れ替え有りな。おいナマエスタジアム開けてこい」
「…了解。グリーンとバトルなんて久しぶりだね」
「まーな。今日だけは負けるつもりねえけどな」


「(私なんでこんな置いてけぼりくらってるんだろ…)」


それは土砂降りの雨が上がった午後のお話。


の日の会話

(どうやら私を取り合ってバトルするようです)
(何故、どうしてこうなった)
(って、結局私がバトル出来てないじゃないですか二人共!)
(私にもバトルさせてくださいよー!)

(お前はバトルなんかしなくていーの)
(…そうそう、俺が守ってあげるから)
(だからナマエは俺んだって言ってるだろーが!)

(私どっちのものになった覚えもないです!)



(2012/12/15)