情けないままじゃ終わりたくない
例えばオレが、彼女より強くなりたいと願う本当の理由を本人に話したらどんな顔をするのだろう。一緒に旅立って、過ぎ去った時間はもう既にかなりのものだ。お互い競い合い、その度に彼女はどんどん、どんどんと成長していく。
オレはいつだって追いつけない。
守りたいと思う相手に守られるという情けなさ。唇を噛み締めるとゲッコウガが不安げにこちらを見上げてきた。悪いな、情けないよな。お前らは悪くないんだ、着実に強くなっているのは分かる。自分のポケモンたちへの接し方も悪くない自信があるし、共に過ごす時間を大切に出来ているとも思う。バトルだって絶対、強くなってる。
なのにナマエはいつだって、オレの一歩前を常に走っているのだ。何度追いつきたいと、追い越したいと願って自らを追い込んで強くなったとしても、ナマエは更にその先へ行ってしまっている。各地のジムリーダーを次々と倒し、実力を示していく彼女にオレはどうしたって追いつけないんだ。
それでも、ホロキャスターに手を伸ばしてしまうのはポケモントレーナーの性だろうか。ナマエ相手にホログラムメールを作成していると自然に頬が緩む。――会えるだけで嬉しい、のかもしれない。また一層たくましく強く、美しくなったお隣さんへ。
「『ジムの前でバトル挑むから、準備しといてくれよな』……っと」
さあ、今日こそ負けられない。オレについて来てくれた相棒達のためにも、必ずいつか追い越してみせる。そうして彼女に始めて認められる気がするのだ。「認められたら、」……この気持ちを、打ち明けても良いですか?
情けないままじゃ終わりたくない
(それじゃあまた今度、機会があったら伝えましょう)
(2013/10/17)
ありきたりと言われようと書かずにはいられなかった
ちなみにまだ女主でプレイしてない時期に書いています。
ノマカプ好きさんは名前変換でセレナちゃんにしても良いかも。