後日談
※グリーン視点
「……ふえっくしゅ!」
「何でこんな真冬に川に飛び込んだんだ」
「いや、その……別に俺は寒くなかったし」
「お前じゃねえ!ナマエだよ!……はぁ」
ほらこれ飲め、と差し出したマグカップを素直に受け取るナマエのためにもう少し暖房を上げてやろうと思ってリモコンを持った。
マサラで珍しくうろうろとしていたレッドを見かけたのは数時間前のこと。
イライラとしたその顔を見れば、ナマエがジムにやってきたのはレッド関連だと思い至るのは簡単だった。
そりゃ俺だってイラつく。だって自分もナマエの事はずっと想っていたのだから。
―――まぁ昔から、二人はずっとお互い想い合っているというのを知っていたわけだが。
だがレッドはともかくナマエは自分がレッドの事を好きだなんて認識していなかったらしい。変なところで鈍いもんなあいつ
だからこそレッドに声を掛けて煽ってナマエのところに行かせたわけだが。
「おい馬鹿レッド」
「何だよ馬鹿グリーン」
「おま……普段からシロガネ山に居るお前はともかく、こいつは普通の環境で生活してんだぞ」
即座に帰ってきた皮肉に一瞬二の句を告げなくなる。可愛くねえ
俺が二人を見つけた時は既に二人は真冬の川の中。
平然とするレッドが抱きしめる腕の中でナマエは寒さに震えて声も出せなくなっていた。というか足元が若干凍ってた
そして寒さで震えながらもレッドと想いが通じ合ったからと俺にきちんと謝ったこいつはやはりいい女だと再確認。
凍っているナマエにレッドは一切気がついていなかったらしく、とりあえずナマエを研究所に運び込み、仮眠室で温めていれば案の定これだ。
38.7度、つまり風邪。そりゃ当然だろう
「ったく、こんなののどこが良いんだか」
「ボンジュールとか言ってたグリーンに言われたくない」
「おま!?それは言うな!恥ずいだろーがっ!?」
レッドの肩を掴んでがくがくと揺さぶる。はは、とナマエが優しく微笑んだ。
その顔を見てやはりどきりと高鳴る心臓。やっぱり断ち切るには時間が必要みたいだよな、俺には
「なぁ、ナマエ」
「……なあに?グリーン」
「レッドに飽きたら俺んとこ来い、いつでもいいぞ」
「……ふふ、ありがと!」
飽きるなんてないと思うけど、と二人の声が重なるのを聞いて無性にレッドにイラついて握った拳を振り下ろしたら避けられた。
まぁ、俺は二人の幸せを祈ることにする。とりあえずレッドは殴らせろ