やっぱ青春!


※デレ京介にご注意。



部活。



兄さんの為、アイツの為、チームの為、そして自分自身の為に自由なサッカーをすることを決意してから傍観側から初めて部活に参加した。

傍観していた頃とは比べものにならないくらいそれは楽しくて、夢中になれた。

さっきは、誰かさんの隠された能力を引き出すことに夢中だった。

サッカー部のために、協力することが出来て内心嬉しかった。




まあそんなことはどうでもいいが、放課後、いつものように古びたサッカー塔に寄って名前と暇を潰す。


苗字名前....、サッカー部のマネージャーで、同じクラスで、そして俺の彼女。


頼り甲斐がない。ほっとけない。見ていて飽きない。

....名前はそんな印象のやつだ。

こうしていつも此処を訪れるのは、ソイツと過ごす時間が少しでもあればということからである。....たぶん。

いつから付き合い始めたとかは覚えていない。

だが、最初にソイツに近寄ったのは俺なのは確か。

自分と似た気が感じ、興味があり近寄ってみた。いつの間にか恋人関係になっていただなんて、正直今でも信じられないほど。



ずっと隣を歩いてきたわけだが気とかそんなものは全く感じられず、結局は俺が名前に惹かれていったんだな....。

っていつから話が脱線したんだ、しかも俺は何を語って....!
無性に恥ずかしくなってきたぞ、おい名前!




「京介って、自由にサッカーをやるようになってから、自然と笑うようになったよね」




一瞬俺の心の声が聞こえたのかと思って焦ってしまったではないか、くそっ....。

急になにを言い出すのかと思えばそんなことを。




「別に....そんな事ねえよ」




無愛想にそう返せば、名前はフェンスに身を乗り上げた。

そんなに乗り上げたら危ねえよ落ちるぞ。....落とすぞ。




「サッカーをしているときの京介の目、すっごく輝いて見えたんだ」

「錯覚だ」




反論すればムッとした表情で、サッカーボールを腕に抱え、突然走り出した。

え、なんなんだよ。

ふてくされたのか?だが途中から走りがスキップに変わった。これは....上機嫌の証拠....。




「京介!サッカーやろう!」

「は、はあ!?」




サッカーやるとはどういう風の吹きまわしだこれは。

理解が遅れ、固まっている俺から名前はどんどん遠ざかっていく。って待てよ、アイツ鞄を置き去りにしてるじゃねえか。

勝手にひとりで突っ走りやがって。




「おい!おまえ鞄!」

「持ってきて〜!」




なるほど....。わざと鞄を置いて、名前の忘れ物は絶対に見落とせない弱点を持つ俺を河川敷に連れ込む策だったのか。

これは一枚やられたな。やることが幼くて、可愛くて、自然に笑みが溢れる。

つか、制服でサッカーやる馬鹿どこにいるんだよ。

悪態をついた俺だが、アイツの為なのなら....しょうがねえ、持っていってやるか。




「待てよ!」




置いていかれまいと、河川敷へと続く道路を走る名前の後を追った。






やっぱ青春!

(....デスソード!)
(おまえそれ、ただポケットに手突っ込んで技名言ってボール蹴ってるだけじゃねえか)



(2011/09/04)