今日もマサラは平和です(赤/類那様へ)
※赤視点
※夢主が幼女(かわいい)
「あらレッドお帰り!丁度良かった、名前を見ててくれる?母さん今からちょっとオーキド博士のところに行って、あと買い物してくるから。……って、あらピカチュウ!相変わらずとっても頼もしいわね。ふふ、よしよし!ああそうだ、今日はレッドが帰ってきそうだなあなんて思ったから、ごちそうなのよ?何も言わずに居なくなったりしないでよね?名前だってレッドに会えるの楽しみにしてたし…ってああもう行かなくちゃ!じゃあ名前の事お願いね?行ってきまーす!」
「………え、えええ―――……?」
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さっきの長々としたセリフは数ヶ月ぶりに実家の扉を開けた瞬間の母の言葉。呆気にとられる自分を放置し、見知らぬ幼い少女を俺の目の前に連れてきた母さんは笑顔でカゴを持って外へ出かけてしまった。俺が帰ってくる予感って…流石は母さんと言うべきか。いや、ちょっと待って、……この子誰?
「おにいちゃん、レッドくん?」
「………え、ええと、そうだけど」
こてん、と首をかしげて不思議そうな顔をして俺を見上げる少女。年の頃はまだ五歳ぐらいで、俺は正直まったく見覚えがないのでとりあえず問われた内容を肯定するしかなかった。…誰の子?母さんが新しい子を産んだなんて有り得ないし……でも俺には従兄妹なんていたっけ?居ないはずだ。
「君、だれ?」
「名前!」
元気な声で、自らの名前を名乗った幼女もとい名前。あどけない可愛らしい笑顔つきで、「レッドくん!」俺の名前を呼んで、とてとて歩いて俺の足にぎゅうっと抱きついてくる。「え、ちょ、」本当この子誰!?肩のピカチュウに目線を送るとピカチュウはふるふると首を振った。どうやらピカチュウにも見覚えが無いみたいだ。……でも、俺たちバトル以外はそんなに興味無かったし、覚えていないだけで従兄妹だとかがいたのかもしれない。うわ、そんな事言ったら母さんに怒られそうだ。なんとか思い出したいと名前を見下ろすと、名前はきらきらと目を輝かせていた。
「レッドくん、あそんで!」
―――さて問題です、小さな女の子が誘いかけてくる遊びでオーソドックスなものといえば?
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「レッドくーん、おだんごおいしいですか?」
「……う、うん、美味しい……」
「ピカチュウはおいしいですかー?」
「ピ、ピカピー…」
おままごと。この歳になっておままごと。庭に出た俺と名前とピカチュウは、名前の作った泥団子を咀嚼するフリをしておままごとに興じていた。完全に巻き込まれたピカチュウは少しばかり不満気に、しかし笑顔の幼い少女には敵わないらしい。笑顔になる名前が嬉しいみたいで、多少気後れしつつも泥団子を手に取り、にこにこと笑う名前にピカ!と鳴いて見せる。「レッドくんのピカチュウつよい?」俺に向かって投げられた質問に俺が答えるより早く、「ピカ!」とピカチュウがさっきよりも元気良く反応した。ぱああっと泥団子を美味しいと言われた時よりも顔を輝かせる名前。あれ、もしかしてこの子バトルに興味あったりする?
「つよそーっ!レッドくんレッドくん、わたしもね、ピカチュウがおともだちなの!」
「へ、名前も?」
「うん!今はね、おうちにいるんだけどね、トキワの森で会ったの」
聞けば名前はトキワシティから来たのだという。トキワに知り合いなんて、ますます思い当たりが無いのだけれど、母さんの知り合いの子供ということでひとまずは納得することにした。「名前、俺の仲間を見る?」「みる!」
ポケモンが大好きだという名前のために自分の手持ちをボールから出してやると、名前は怯えることもなく目をますます輝かせて、きゃあきゃあとはしゃいだ。それは五月蝿いというよりも微笑ましいもので、リザードンの背に跨ってみたりカメックスの甲羅に触れてみたり、フシギバナに自らが摘んだ野花を差し出したりと、名前はなかなかに勇敢な子だった。唯一怯えたのがカビゴンで、しかしそれも最初だけ。カビゴンの腹の上で無邪気に跳ねる名前を見ていると、なんとも優しい気持ちになれた。ずっと吹雪の中にいたからだろうか、名前はひだまりみたいだ。
「名前、空飛んでみる?」
「うん!りざーどん、のってみたい!」
リザードンは綺麗に発音出来ないのか。可愛らしい口調に思わず口元を緩めると、きょとんとした顔を返された。「りざーどん?」「うんうん、リザードンで合ってるよ」おいで、ほら乗せてあげると手招きすると素直に駆け寄ってくる名前。妹が出来たみたいでほっこりとする。多分今、俺達はとても穏やかな顔をしているだろう。そうだ、リザードンに乗って名前と一緒に母さんを迎えに行こうか。
「うわあ…!」
リザードンの背に乗って名前をしっかり固定すると、リザードンが飛び上がる。始めて飛び上がったのだろう。母さんにこんな小さな子を!なんて怒られるかもしれないがこの笑顔を見れただけで俺は満足。「高い高いー!りざーどんすごい!」落ちるかもしれない、という程度には暴れないが、それでも体を少し揺らして満面の笑顔で地上を見下ろす名前。とても心地良い風が吹いて、名前が目を閉じた。なんだろう、とても癒されている。「名前、どう?気持ち良い?」問いかけると、名前は笑顔で振り向いた。
「わたしもりざーどんげっとする」
「え?」
「おおきくなったら、レッドくんみたいにポケモンと旅するの!」
「……そっか」
「そうしたらね、レッドくん!わたし、レッドくんにわたしのリザードンにのせてあげる」
「へえ、いいね」
「うん!たのしみにしててね?」
「分かった、楽しみにしてる」
「じゃあ、約束のちゅー!」
「ぶっ!?」
どうしてそんな結論に至ったのか、幼子の脳内は分からない。思わず噴出すとリザードンが少し迷惑そうに鼻を鳴らした。……どことなく目線が冷たいのは気のせい?いや、こんな小さい子相手に俺が意識すると思う?確かに可愛いし成長は期待出来るけど、そんな目線で見てないからね?いきなりちゅーとか言われて戸惑わないはずがない。
「レッドくん!」
「え、わ、わっ!?」
迷っている俺とは裏腹に、名前の方には迷いがまったく無いらしかった。ぎゅうっと抱きつかれて、頬にちゅ、と柔らかい小さな何かが触れる感覚。「やくそくだよ!」笑顔。輝くような笑顔は太陽さえも凌駕する。頬に手をあて、……結局微笑んでしまった。「ん、楽しみにしてる」「やったあ!」レッドくん!と抱きついてくる名前はもうただただ可愛いの一言で……って、ロリコンじゃない。ロリコンじゃないぞ?名前が可愛いからただ名前が可愛いと思っているだけで、決してロリコンじゃない。……………。
「レッドくん?」
「………ちゅーのお返し」
名前のおでこに優しく唇を触れた。「え、え、」混乱したのか、頬を染める名前に満足感を覚える。もう何をしたのか、自分が何を考えてこんな事をしたのかはとりあえず考えない事にして、目の前の名前の可愛さを堪能することにしよう。そうしよう。
今日もマサラは平和です
(名前が可愛いのがただひたすらに悪い)
(2013/07/19)
八万打企画より、類那様に捧げさせていただきます。
幼女主とレッドさんでした!ほのぼのを目指した結果、レッドさんが誰これ状態に。
一回書いたものが全部消えたので見直して書き直したんですが、そのためカットされた夢主とレッドさんの関係について補足を。えー、夢主はレッドさんの従兄妹です。レッドさんが旅に出たあたりに生まれたのでレッドさんは知らなかったみたいです。ちなみに家系的にとても綺麗な子になると思います。
今後レッドさんは幼女に目覚め……るのを否定して光源氏計画してそうですね。妄想ですが、多分成長した夢主はいつまでもでこチューを覚えていて親戚の集まりとかに積極的に顔を出すようになったレッドさんに少し緊張し、それが恋心だと気づき、自覚したら自覚したで避けはじめ…そんな夢主に対して最初は成長かーとか思ってたレッドさんも最終的には自分の年齢を気にしはじめて俺ストライクゾーン外だよねとかぼんやり気にしはじめるんだと思います。(※妄想です)
リザードンの全力贔屓は勿論私が…っと、長々失礼致しました。企画へのご参加ありがとうございました!
(※ご本人様以外のお持ち帰りはご遠慮ください)