クジャクアスターの咲く浜辺(携帯獣/フウロ+カミツレ/水菜様へ)
「ふ、フウロちゃん!?それにカミツレちゃんまで!」
「やっほー!久しぶりだね名前ちゃん!」
「さ、行きましょう?」
「「南の島に!」」
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何が何やら分からないまま、私はカミツレちゃんに手を引かれフウロちゃんの運転する小型の飛行機に乗せられて現在南の島のビーチに立っています。水着で。
「んー!海綺麗!ね、スワンナ!」
「本当に綺麗な青色ね。エモンガ、サングラスを」
「………えっと?」
「はい、名前ちゃんの分のサングラスね」
「…あ、ありがと、う……?」
サングラスを受け取り、カミツレちゃんとフウロちゃんを一瞬見比べて――フウロちゃんの真似をして頭に乗せる。流石にスーパーモデルだとサングラスも恐ろしい程様になっているから真似する勇気はない。カミツレちゃんの磨き上げられた体とフウロちゃんの(どことは言わないが)豊かな体が照りつける太陽と真っ青な海、白い砂浜の上できらきらと輝く。
そう、まごう事なくここは南の島である。何があった。
「カミツレちゃんがね、今度からまたファッションショーで忙しくなるらしいの。私もジムリーダーだし来週からフライトの予定も結構入っちゃったし……」
「名前ちゃんも最近ポケウッドで名前が売れてきたでしょう。だから今後、三人で集まる機会が減るかもしれないじゃない?なんとなく寂しくなって、この旅行は私が計画したの」
「カミツレちゃんったら今日いきなり私のところに来てね、準備は全部自分がやったから飛行機出して飛んでくれ、なんて言い出すんだもん!びっくりしちゃった」
そうは言いつつもフウロちゃんだって、きっと大喜びで飛行機を出したのだろう。カミツレちゃんは少し照れくさそうで、思わず私の頬は緩んだ。――そう、忙しかったのだ。初めてメインの役を貰えて、その映画がヒットして私は色んなメディアに顔をちらほらと出すようになっていた。カミツレちゃんもフウロちゃんもそれを電話越しに喜んでくれていたけど、私だって本当は三人でこうやって会いたかったんだ。だから――……戸惑っていた気持ちが落ち着くと、ふつふつと湧き上がってくるのは喜び。カミツレちゃんだって忙しいはずなのに、私とフウロちゃんのためにこんな素敵な旅行をプレゼントしてくれたのだ。
「ありがとう、カミツレちゃん!フウロちゃん!…私、本当に嬉しい」
「ふふ、私も二人とこんな綺麗な海に来れてすごく嬉しい」
「ほらほらカミツレちゃん!早くオイル塗って!海に行くよー!」
カミツレちゃんと笑い合うと、ごそごそと背後で鞄を探っていたフウロちゃんが私達の間に飛び込んできた。手にはオイル。そうだ、ここは海だった。だったら「泳がないと意味無いよね!」笑顔で二本目のオイルの瓶を私に手渡してくるフウロちゃん。なるほど、二人で塗れば早いよね!カミツレちゃんを日焼けさせるわけにはいかないからきちんと塗ってあげなければ。
「えっ、ちょ、フウロちゃん?私は浜辺で、」
「塗ってれば大丈夫!せっかくだし行こうよカミツレちゃん!」
「名前ちゃんまで、わ、わ、きゃああ!?」
人のまばらなビーチ。響くのは本当に楽しそうな声だったから、パラソルの下でその様子を眺める名前のレパルダスは心地よさそうに欠伸をした。
クジャクアスターの咲く浜辺
(美しい思い出と友情に感謝して)
(フォトフレームの傍に添えたのです)
(2013/05/21)
五万打企画より水菜様リクエスト、「カミツレさんとフウロちゃんで旅行話ほのぼの」でした!
クジャクアスターは8月の花で、意味が「友情」「綺麗な思い出」だとグーグル先生はおっしゃってたのでこれだ!と思いまして。
正直女の子しか出てないので大満足の星乃です。思わずニヤつきます
しかしカミツレさんとフウロちゃんがいまいち掴めてないので不安…
ちなみに水着はビキニにパーカーを推奨します…!
微妙に短いお話になりましたが、一応おまけとしてこの下にボツになったおみやげを選ぶシーンを会話のみで入れてみました。
水菜様に捧げさせて頂きます。いつも応援ありがとうございます!
◇おまけ
「ねえねえフウロちゃん、このストラップ可愛くない?」
「わ、ほんとだ!凄く可愛い!……あ、色違いで三色ある!三人でお揃いにしようよ!」
「それ賛成!カミツレちゃーん!来て来て!―――って、何見てるの?」
「……あ、これ?ちょっと見惚れちゃってて……"ミロカロス"ってポケモンなんですって。それより何かあったの?」
「名前ちゃん、ミロカロスはホウエン地方のポケモンなんだよ!私見たことある!」
「へえ…!すっごく綺麗なポケモンなんだね!いつか三人でホウエン地方も行きたいなあ」
「行こうよ行こうよ!ほら、そのためにはお互い仕事も頑張らないとね!」
「………」
「ってああ、カミツレちゃんごめん!いじけないで〜!?」
「ほ、ほらほらこれ!このストラップお揃いにしよ?南国バージョンのシママ!」